･ ページ22
部屋に着くなり私はベッドに押し倒されそのまま馬乗りされ首をがぶがぶと歯を立てて噛まれる。いつもの甘える時と違う痛みを伴うそれに顔を顰めるもお構い無しで、私はひたすらその痛みに耐えながら彼の名前を呼んだ。
『…ゾ、ム…ッ』
「フーッ…フーッ」
『っあ゛…』
爪が腕を引っ掻き牙が首の薄い皮膚にキスマークとは違う赤い跡を残していく。とはいえ噛まれた後から血が滲んでいるのだ、きっと今の私の首周りはスプラッタ映画さながらの痛々しい光景になっているだろう。
『…ゾム、大丈夫だよ』
「ヴー…」
『大丈夫。…大丈夫だからね』
戦いに適した肉食獣人の獣人達は偶に興奮が収まらず暴走してしまう時がある。この国の人達も例外ではなく、特にゾムがなりやすいのだとか。
そしてこれはパパでも最良の鎮め方を知らないらしい。だからこれは私にしか出来ない仕事だと思った。
「…ｽﾝｽﾝ」
『…？』
噛むのをやめたと思えは首の辺りをスンスンと嗅ぎ出すゾム。
『どうかし____』
どうかしたのかと聞こうとした瞬間、着ていたワンピースに手をかけられ思い切り前をビリビリと破かれた。前を止めて居たボタンが五個程転がっては床へと落ちていく。
『ッ』
「____ハァ…ッ、美味そ…」
大きく開いた口から鋭い牙が覗きだらりと舌が垂れ下がる。
ダメだ、完全に獣としての本能に呑まれてる。
『ゾム…ゾム！』
名前を呼ぶも彼は止まらず手首を頭の上で片手で拘束される。
「____いい匂いやなぁ…アカン、もう我慢出来へん」
『ひ、ぁ…ッ』
鎖骨をカプ、と軽く食んだと思えばそのまま胸元に吸い付かれる。ギラついた目は私の肌しか映しておらず色んな意味で堪能されながら食われるのだと察しが着いた。
あぁ、でも…元々は食べられる運命だったんだ、怖くはないかな。
そう思ったその時、ゾムの部屋の扉が吹っ飛び赤いマフラーが視界の端に映りこんだ。
「そこまでや、ゾム」
体の上に乗っていた緑が視界から消えると同時に鈍い音が部屋に響き渡る。
そして少し遅れた後から「大丈夫？」と嗅ぎなれた消毒液の匂いが鼻を掠めた。
『…おじ、さ…』
「頑張ったね。もう大丈夫」
おじさんはアルコール綿を取り出すと傷周りを拭い部屋を出る。
「ゾムはトントンに任せて治療しような」
『…うん』
「ゾムをありがとうな」と言う優しい声に、私は何も答えず白衣を弱々しく握った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 890人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみれいん(プロフ) - 黒瀬さん» 猫ちゃん！大丈夫です！すみません、中々御相手が決めれなかったので助かります！ (2022年1月19日 19時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - すみれいんさん» リクエストありがとうございます！御相手の表記が無いので、問題なければ猫ちゃんになっちゃって、御相手sypとなりますがよろしいでしょうか？ (2022年1月19日 12時) (レス) id: 3a76da62a7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - リクエストと言うかもし見れるなら見てみたいなぁと言うのが、メンバーの属している獣になっているのを少し見てみたいなぁと思います！兎ちゃんのお話好きなので本編も何回も見てます! (2022年1月17日 9時) (レス) @page49 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
桜の穂 - あぁ”…好きです!更新頑張ってください! (2022年1月7日 15時) (レス) @page42 id: f612835adc (このIDを非表示/違反報告)
tubin - こんにちは！ (2022年1月5日 8時) (レス) id: f053091504 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
