09. ページ10
おじさんが足を診てくれた後、そろそろ寝る時間だよと私の頭を撫でる。
『まだいや』
「こりゃ、わがまま言わへんの」
おじさんがむくれる私の頬っぺを指でついてぷしゅっと萎ませる。むぅ…まだ寝れないのに。
なんておじさんに遊ばれていればドアをノックする音が。誰だろう？
「こんばんはしんぺいさん」
「お、エーミールやん」
『？ えみ？』
入ってきたのは茶色のセーターにループタイをつけた紳士系の男の人。その人はパールのような純白の瞳で私を見つめ、そしてゆっくり歩み寄ってきた。
「初めまして子うさぎさん。私はペンギン族のエーミールと申します」
よろしく、と差し出された手をきゅっと握ってみる。白くて長くて、温かいおててだ。
『A、ですっ』
「自己紹介出来るなんてお利口さんですね」
『きゅうさい』
「おや、そうでしたか」
なんて両手で五と四を作って翳せばエーミールはニコニコと嬉しそうに笑った。私もなんだか嬉しくなる。
「で、エミさんはどうしたん？」
「グルッぺンさんから彼女の寝かしつけを頼まれまして」
『ぶー…』
「あー成程なぁ」
このおてんば娘寝かすの大変やぞ？なんてカラカラ笑うおじさんに頬っぺを膨らませてパシッと叩くと「おー痛い痛い。おっちゃん怖いから逃げさせてもらうわァ」と大袈裟に痛がりながら部屋を出て行った。
「ふふっ しんぺいさん貴女と結構打ち解けたみたいで何よりです」
『ぶー』
扉の方を見つめ抗議する鳴き声を出せばエーミールはクスッと笑って持ってきた本を取り出した。
「さ、いい子ですから寝ましょうね」
『…やだ…』
「駄目です。夜遅くまで起きてると…こわーい狼さんが食べに来ちゃいますよ…？」
なんて言うと天井の方からガタッという音が聞こえて反射的に見上げる。
あれ、でもねずみにしては大きいきがする…
「いいんですか？ペロリと丸呑みされちゃいますよ？」
『や、やだっ！』
「ではいい子で寝ましょうね」
頷いてお布団に潜り込めば、エーミールは白豚姫と言うお話を優しい声で読み聞かせ始めてくれた。
安心する…なぁ……
※※
「そして白豚姫は____おや」
気が付けば子うさぎさんはすやすや寝息を立てていた。本を閉じ、布団を肩まで掛ければ『えみ…しゃ…』と私の名前を呼んでくれた気がした。
「…おやすみなさい。良い夢を」
顔にかかる髪を耳にかけてキスを落とす。
どうかこの子が幸せになれますように。
例え将来この身を食らう事になろうとも____
.
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シルバー(プロフ) - 完結おめでとうございます(遅くなってごめんなさい)続編楽しみにしてます!! (2021年5月15日 2時) (
レス) id: fda507aca1 (このIDを非表示/違反報告)
Web版さん - あなたが噂の(前からお名前だけは知っていた)黒瀬さんですかぁ！最高ですありがとうございます！そして完結おめでとうございます！まじでスラスラ読めたし楽しかったです！タイトル回収が鮮やかすぎてもう「はぁ〜！」と読み終わった時に声が漏れました！応援してます！ (2021年5月12日 3時) (レス) id: 1323f7e7de (このIDを非表示/違反報告)
映画鑑賞(プロフ) - 完結おめでとうございます！毎日更新に楽しみにさせていただいていました！続編もとても気になります！ (2021年5月11日 19時) (レス) id: 70cbc4d72c (このIDを非表示/違反報告)
カンナフューラー・スカーレット(プロフ) - 完結おめでとうございます！続編とても気になります！これからも頑張ってください！ (2021年5月11日 19時) (レス) id: ac012606e8 (このIDを非表示/違反報告)
[ ] - 完結おめでとうございます。続編めっちゃ見たい (2021年5月11日 19時) (レス) id: 44a1044c1a (このIDを非表示/違反報告)
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