05. ページ6
橙色の着物にさらりと風に揺れる髪。
頭に着けている鬼の面に、顔は「天」と書かれた雑面を着けているその人はゆっくりと私の方へと振り向いた。
「…」
その人は目の前でしゃがみ、私の口元にそっと触れた。
正直黙り込んで得体の知れない化け物を圧倒して、怖いのが本音だ。それでも助けてもらったお礼は言わないと何をされるかわかったものでは無い。
『…ど、どこのどなたかわかりませんが助けて下さりありがとうございます』
そう言えば口元しか見えない彼は一瞬驚いたように口を結んだが、やがて小さく笑って口を開いた。
「…ええんやで。愛娘を護るのは俺の仕事やからな」
『…愛娘？』
先程もしていたその言葉に首を傾げる。
雑面の人はんふふ、と小さく笑ってから突如、私の口元に垂れている血をペロリと舐めた。
つまりそれは口元を舐められるという意味でもあり____
『え…っ』
「その説明はまた今度にしよか」
今は疲れとるみたいやし、と彼は人差し指と中指を私の額に置いて何かを呟く。すると次第に、急に瞼が重くなり起きていられなくなってしまった。
『な、んで…』
そのまま重くなり傾く体を彼は受け止めてくれてくれた。
「____おやすみ、A」
なんで名前を知ってるの…？
眠りにつく前に鼻をくすぐった桜の匂いに懐かしさを感じながら私は目を閉じた。
※※
「____護るつっておいて何怪我させてるんスか」
「しゃーないやろ！A俺の事忘れとるみたいやったし…」
自分より少しばかり小さいとは言え人ひとり抱き上げてる状態で着物の彼は軽々と屋根の上を渡りながら黒猫とそんな会話をしていた。
「しかもちゃっかり血まで貰って…ホンマ一辺シバきますよ」
「ショッピ君、一応君俺の使役獣って事わかっとる？」
舌打ちする黒猫に苦笑しながらそれに、と着物の彼は言葉を続ける。
「…ずっと見守るだけやったけど、やっと呼んで貰えたんや…やっと側で護れんねん…こんなにこの日を願った事は無かったで」
「…そうすか」
口元を緩めて笑う着物の彼に黒猫はそれだけ返し、やがて到着した家で着物の彼を振り返った。
「んじゃ、あとはこっちに任せてくださいロボロさん」
「ん、頼むわ」
猫から茶色の猫っ毛の男性に姿を変えたしょっぴは主を受け取り、そして着物の男性は桜を巻き込んだ風と共に消えていった。
「…おやすみなさい、Aさん」
ベッドに下降ろしペロ、と頬を舐めた後猫の姿に戻り彼もまた目を閉じた。
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まる(プロフ) - 続編あるのちゃんと見てなくて、｢あとがき」で心臓止まるかと思った…その後の安心感ったらありゃしない…ww 続編見てきます！ (2023年4月11日 2時) (
レス) @page50 id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
お月様 - うわ〜〜！推しが守ってくれるってヤバイよ！次の章も楽しみにしてます！ (2021年3月12日 17時) (レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ@絶望少女です。(プロフ) - ねぇ…推しが尊いんですが！？どうしたらいいんだよｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫオ！！・゜・(つД｀)・゜・ (2021年3月6日 17時) (レス) id: a5be711894 (このIDを非表示/違反報告)
海猫0126 - こんばんは！小説面白かったです^^これからも投稿がんばって下さい！ (2021年3月5日 20時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
Rin - ちなみに初見です。好きです。() (2021年2月28日 0時) (レス) id: ee43a6ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
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