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結局あのまま二人を放置する事も出来ず、お人好しな私は危害を加えないことを条件に彼らを家へと上げて治療を施した。マフラーの人、トントンさんは最初嫌がっていたけど主のグルッペンさんの命令に渋々従った。
『…よし、これでもう大丈夫です』
「…お前お人好し過ぎやろ」
『別にいいじゃないですか』
「…変な奴やな」
なんてトントンさんの嫌味を受け流して救急箱を仕舞えばもぎゅもぎゅお菓子を頬張っていたグルッペンさんが「ふむ」と猫のしょっぴをじっと見詰めた。
「…成程、君は奴らを呼び寄せ易い体質のようだな」
『え?』
「そこの猫、普通じゃないのだろう?」
そう言えばしょっぴは跳躍し、私を後ろから抱きしめながらアメジストの目を釣り上げグルッペンさんを睨みつけた。
「…やっぱりバレてましたか。なんの用っすかアンタ」
なんて威嚇し出すしょっぴに落ち着いてと頭を優しく撫でる。喉をゴロゴロ鳴らす姿を見て、グルッペンさんは小さく笑って見せた。
「…ふっ」
『?』
「いやな、君は全くもって面白い存在だ。気に入った」
グルッペンさんは座っていた席から立ち上がり私の手を取った。
「どうかね、私の元で働いてみないか?」
『…はい?』
一体どういうことなのだろうか?
※※
"__君を助手として雇いたい。何、バイト代は出すし飲んでくれればこちらもいざと言う時手を貸すぞ"
そう言って返事はゆっくりでいい、とグルッペンさんはトントンさんを連れて帰って行った。何だか色々疲れた一日だった気がする…
「ん、お疲れさんやで」
『…ロボロさん』
ベッドに寝転がった瞬間姿を現したロボロさん。大きな手が頬を撫で、気持ち良さに目を細めれば嬉しそうに笑っていた。
「あ、せや。伝え忘れた事あってん。聞いてくれるか?」
彼の言葉に上体を起こせば右手を取られそっと包まれた。
「俺らはAを護るために力を使っとるわけなんやけど、その力の源って限られてんねん」
『? うん』
「その場合主としてる者の血や体液を取り込む事で力に変換出来んねん。やから…その…」
少し硬い指の腹が手の甲をなで、頬はじわりと桃色に染る。
「その…血を分けて貰っても、ええか…?」
ロボロさんは私を護る為に見せたくない力を使ってまで護ってくれた。
まぁ最初から断るつもりなんて無かったけどね。
『…勿論、どうぞ』
「! ありがとうな…」
人差し指の先端が犬歯で小さく切られ、やがてとろりと零れた血は熱い舌に絡め取られていった。
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まる(プロフ) - 続編あるのちゃんと見てなくて、「あとがき」で心臓止まるかと思った…その後の安心感ったらありゃしない…ww 続編見てきます! (2023年4月11日 2時) (レス) @page50 id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
お月様 - うわ〜〜!推しが守ってくれるってヤバイよ!次の章も楽しみにしてます! (2021年3月12日 17時) (レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ@絶望少女です。(プロフ) - ねぇ…推しが尊いんですが!?どうしたらいいんだよォォォォォォォォォォオ!!・゜・(つД`)・゜・ (2021年3月6日 17時) (レス) id: a5be711894 (このIDを非表示/違反報告)
海猫0126 - こんばんは!小説面白かったです^^これからも投稿がんばって下さい! (2021年3月5日 20時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
Rin - ちなみに初見です。好きです。() (2021年2月28日 0時) (レス) id: ee43a6ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
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