12. ページ13
tn side
おかしい。戦いの神様ってわけでもないやろこいつ。
なのになんで純粋な妖やった俺よりこんなに力に長けてるんや…？！
「トントン！」
「っ平気やから黙ってろや！」
仮にも主のグルさんが焦ったような声を出す。やめろやお前、仮にも山の主と恐れられてた俺を従えさせる程の力を持ってる名家の人間やろ。
「…どしたん？威勢良かった割には終いなん？」
「黙れや阿呆！」
錫杖を手にし直し固く目を閉じてる少女に向ける。隙が出来たら一気に叩く。そうすれば一撃で____
「せやから、させへん言うとるやん」
「！」
瞬時に少女を庇う様に構えていた鬼面の使い魔が術式を弾き刃を一閃する。
利き腕がだらりと力なく錫杖を落とし、刀の切っ先が首元に翳された。
「火力不足や。出直せ」
「…クソが」
決着がつくと同時に鬼面の使い魔が刀をゆっくり振り上げる。はよトドメをさせ。俺は逃げへん。
そう、思っていたのに。
『っ、だ、ダメ！ロボロさん！』
「…は？」
止めさせたのは、先程痛い目に合わせたはずの彼女やった。
※※
「A…何言うとるんや。こいつらはAを…」
『それでもダメなものはダメ！』
決着が着いたらしくそっと目を開ければ、そこではロボロさんが刀を振り上げてマフラーの人を切り伏せようとしてる場面が目に入った。
例え敵でも人の姿で、目の前で死ぬなんて耐えられなかった。
だから咄嗟に彼の名前を呼んで止めるよう願った。
「っ、ダメや。こいつはAを殺そうとしたんやぞ！わかっとるんか！」
『わかってる！でも、もう誰かが目の前で死ぬのなんて見たくない！』
ロボロさんと互いに意見が衝突し合う。
だけど私が意志を曲げないと判断したからなのか、やがて彼はため息をついて刀を降ろし鞘に収めた。
「…何か変な事したら容赦なく切り伏せるからな」
「…わかっとるわ」
マフラーの人は溜息をつき、金髪の髪の男性は降参だとばかりに両手を小さく上げた。
「…A」
『うん』
顔に嵌めてた鬼の面を元に戻したロボロさんは私の元にやって来て赤く腫れた方の腕を掴んで持ち上げる。
「痛かったやろ？すぐ手当しような」
『…うん』
ロボロさんは私を壊れ物のように優しく扱ってくれるけど、なんでなんたろう？
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 759人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まる(プロフ) - 続編あるのちゃんと見てなくて、｢あとがき」で心臓止まるかと思った…その後の安心感ったらありゃしない…ww 続編見てきます！ (2023年4月11日 2時) (
レス) @page50 id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
お月様 - うわ〜〜！推しが守ってくれるってヤバイよ！次の章も楽しみにしてます！ (2021年3月12日 17時) (レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ@絶望少女です。(プロフ) - ねぇ…推しが尊いんですが！？どうしたらいいんだよｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫオ！！・゜・(つД｀)・゜・ (2021年3月6日 17時) (レス) id: a5be711894 (このIDを非表示/違反報告)
海猫0126 - こんばんは！小説面白かったです^^これからも投稿がんばって下さい！ (2021年3月5日 20時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
Rin - ちなみに初見です。好きです。() (2021年2月28日 0時) (レス) id: ee43a6ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
