11. ページ12
「っ？！」
「なんやこの風…！」
金髪の人とマフラーの人が突風に片腕で顔を覆う。その隙に私は抱き上げられ安心する匂いと温もりに包まれた。
『…っロボロ、さ…っ』
「大丈夫か？A」
焦った声の彼は私を降ろして腕を見る。
手はグーパー出来るが赤く腫れており、折れる1歩手前だったと見て取れた。
「…女の子に何て事しとんねん」
ロボロさんの視線は赤い跡から動かない。
「女性だろうと敵であったら排除せねばならない」
「やからって俺の"愛娘"に手ぇ出してええって訳やないぞ」
ロボロさんは私の頭を優しく撫でゆっくり立ち上がり彼らの方へ向く。
顔は全く見えない。だけど
「____お前ら全員、タダで帰れると思うなよ」
その静かな声には確かな殺意が込められていた。
「…やめといた方がいいぞ？俺の使い魔は相当な手練だ」
金髪の人はそう笑い、マフラーの人は錫杖をどこからか手に持ちこちらに向ける。
「…そっちがその気ならええで。本気出したるわ」
ロボロさんは頭に着けていたお面を自分の顔に嵌めて刀を抜いた。
「A、ええ子やから目ェ閉じててや」
『え、でも…』
「ええから」
な？と小さい子供を諭すような優しい声でそう促され、私は渋々それに従った。
「ん、ええ子や」
「よそ見してる場合ですかねぇ」
「ん」
刹那、金属同士のぶつかる音が響き渡る。マフラーの人が先手攻撃を仕掛けそれをロボロさんが防いだのだろう。
「はぇー意外と汚い方法取るんやな？流石強いだけあるわぁ」
「こう言うのは勝ちゃなんでもええねん」
そんな口論を繰り広げながらも金属同士のぶつかる音は鳴り止まない。体格差もあるしこのままだと時間の問題だろう。
そう思いながらも言いつけをちゃんと守り、私は両手を握って祈る事しか出来なかった。
「…一つだけ聞きたいねんけど、お前倒したらあの子にもう手ぇ出せへんくなったりするん？」
「…出来たら、やけどな！」
まるで確証でもあるようなその言い方にイラついたのか、マフラーの人が一際大きい金属同士のぶつかる音を立てた。
すると次の瞬間____
「…上等や」
と、彼のいる方から禍々しい殺気が溢れ出した。
「ほう」
「…お前ただの鬼神ちゃうな」
「当たり前やろ。こっちは色々背負うもんがあんねん」
『…？』
どういう事だろうと思った瞬間。
マフラーの人の短い呻き声と何かがポタポタ垂れる水音が耳に届いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 759人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まる(プロフ) - 続編あるのちゃんと見てなくて、｢あとがき」で心臓止まるかと思った…その後の安心感ったらありゃしない…ww 続編見てきます！ (2023年4月11日 2時) (
レス) @page50 id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
お月様 - うわ〜〜！推しが守ってくれるってヤバイよ！次の章も楽しみにしてます！ (2021年3月12日 17時) (レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ@絶望少女です。(プロフ) - ねぇ…推しが尊いんですが！？どうしたらいいんだよｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫオ！！・゜・(つД｀)・゜・ (2021年3月6日 17時) (レス) id: a5be711894 (このIDを非表示/違反報告)
海猫0126 - こんばんは！小説面白かったです^^これからも投稿がんばって下さい！ (2021年3月5日 20時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
Rin - ちなみに初見です。好きです。() (2021年2月28日 0時) (レス) id: ee43a6ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
