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入学式…それは学生にとっては新生活が始まりドキドキする時期。
だけどその日にうっかり怪我をしてしまった私は半月程入院していて。
校門を潜りやっと今日からお世話になる校舎を見上げる。ここが今日から私の学び舎だ。
『…何も無く三年過ぎればいいなぁ』
早く卒業して、大人になって、働けるようになりたい。
家族も親戚も居ない私はこれからの学校生活への期待に胸を膨らましつつ教室へと向かった。
※※
「さて、皆さん席に着いて下さい。HR始めますよ」
私の席は窓際の一番後ろの席。所謂お昼寝席に腰掛ければ担任らしい男性が教室に入ってきた。
担任らしいエーミール先生は白のシャツに茶色のベストの似合う男性だ。知的に見える彼だがクラスメイト達のいじり具合を見るにどうやらネタにされやすい人物らしい。可哀想。
「そうだ、Aさん」
『はい』
連絡事項伝達の際先生に手招きされて教卓の方へと歩き出す。そのまま先生の隣に立てば先生はニッコリ微笑んで私の紹介をしてくださった。
「皆さんはご存知じでないかも知れないので一応お話しますと、Aさんは入学式前に少し怪我をしてしまい少しばかり入院されてました。その為クラスの皆さんの事等分からないことがあるかもしれません。仲良くしてあげてくださいね」
エーミール先生は気を配って下さったらしく「挨拶を」と私に微笑みかけた。
『…AAです。よろしくお願いします』
簡単な挨拶を済ませて頭を下げる。そのまままばらな拍手を受けて席に戻れば、隣の席の男の子が私にこっそり話しかけてきた。
「なあなあ」
『?』
「怪我ってもう痛くなったりせぇへん?平気?」
水色のふわふわの髪のメガネ君は心配そうにそう尋ねてきた。
『平気だよ』
「そかそか。具合悪なったりしたら教えてな」
俺、千野友希って言うねん。あだ名はチーノ。
そうこっそり教えてくれたチーノ君に『ありがとうね』とお礼を言えば、エーミール先生から「そこの二人、仲良くなるのは後でにしてくださいね」と怒られたので、お話を切り上げてHRに耳を傾けた。
※※
『(…そう言えば桜、今年は見れなかったなぁ)』
思ったよりつまらない授業を聞きつつ窓の外から見える大きな桜の木を見つめる。今年は暖冬だったからか入学式より少し前に咲いたらしく、今は葉桜しか残っていなかった。
まあそういう時もあるよね、と自分に言い聞かせ私は心地よい日差しにうつらうつらと船を漕いだ。
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まる(プロフ) - 続編あるのちゃんと見てなくて、「あとがき」で心臓止まるかと思った…その後の安心感ったらありゃしない…ww 続編見てきます! (2023年4月11日 2時) (レス) @page50 id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
お月様 - うわ〜〜!推しが守ってくれるってヤバイよ!次の章も楽しみにしてます! (2021年3月12日 17時) (レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ@絶望少女です。(プロフ) - ねぇ…推しが尊いんですが!?どうしたらいいんだよォォォォォォォォォォオ!!・゜・(つД`)・゜・ (2021年3月6日 17時) (レス) id: a5be711894 (このIDを非表示/違反報告)
海猫0126 - こんばんは!小説面白かったです^^これからも投稿がんばって下さい! (2021年3月5日 20時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
Rin - ちなみに初見です。好きです。() (2021年2月28日 0時) (レス) id: ee43a6ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
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