大空2人による逆行物語【REBORN】Ⅶ (ページ38)

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夕空268 【最終話】ページ38

『ガウっっ！！』

元気よく鳴くナッツの頭を撫で「ただいま」と笑う。

虹の代理戦争から月日が経ち私達は大人になった。
あれから色々あって、高校を卒業したと同時にマンションを一部屋借りて一人暮らしを始めた私は恭弥さんの秘書として日々頑張っている。

靴を脱ぎナッツを抱き上げると同時に玄関扉が開いた。

雲『蕾、何してるの？行くよ』

そこにはスーツ姿のヒバリさんが……ってはい？

蕾『ヒバリさん……行くってどこに？』

雲『昨日言った事忘れたの？今日はどっか外食しようと誘ったのは君でしょ』

……ゔっ、すっかり忘れてました。

雲『それと…〝恭弥〟って呼んでっていつも言ってるでしょ？』

ぐいっと腰を引かれ抱きしめられる私の耳元でそうヒバ…じゃない恭弥さんは囁き、カアァっと顔に熱が集う。

う、うぅ……い、意地悪ぅ……

10年という時が経てば呼び方も変わるわけで。
〝ヒバリさん〟から〝恭弥さん〟へとグレードアップした。

まあ他にも理由があるといえばあるちゃあるけど…

は、恥ずかしいから言わない！！

雲『ほら蕾、名前』

蕾『っ……きょ、恭弥…さん』

雲『さんはいらないけど……」

まあいいや、と恭弥さんは触れるだけの口付けをする。

してやられた…なんだろうこの敗北感。

あうあう、と口をパクパクさせる私に恭弥はクスクス笑う。

蕾『～～～っ！！が、外食行くんでしょ！！は、早くいきましょう！！』

恭弥さんの腕の中から何とか逃れた私はまだ笑ってる彼の手を引いた。

今にも日が沈みそうな空に昇る月。
その月光に照らされ二人の薬指に嵌っているシルバーの指輪がキラリと輝いた。

《完》