僕のお父さん[鈴風] ページ8
僕は旅に出る。探さないでくれ。
なんとも言えないその文面を、習いたての拙い文字で紙に書いた。
父親の書斎にでも置いておけばきっと気付くだろう。
子供の成長を図るためにつけた家庭教師。
その家庭教師に教わった事をこういう風に使われる事はなんて皮肉なのだろうと自らも考えた。
けれど、やめることはしなかった。
その手紙を最後に鈴風はこの家に帰ることは無かった。
探し物がある。
色、形、匂い、場所、値段、何も覚えていないけれど。
探し物があった。それは覚えていた。
感覚のような、雰囲気のような。
何だかハッキリしなくてぼやけた感覚が。
何か珍しいものを見る度にこれじゃないと語りかけてきた。
家を出たのは相当昔で、神の目を貰ったのも昔の話。
小さい時は父親への興味など全くもっていなかった。
家だろうと客の前だろうと横暴に動く父親の姿を見て、いつしか僕も似たような行動を取るようになった。
後で知ったことだが父は王手企業の社長だとかなんだとか…。
ある程度成長してしまえば善悪の区別くらい着くようになる。
そして、僕は、父の性格が悪であることを知った。
嗚呼。こんな性格変えなくては。
脳ではわかっていても、全く変わらない。
変えようとする能力がないのか。もしくは他に原因があるのか…
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作者名:月影 陽 | 作成日時:2021年2月23日 23時