少女の成長物語 with 再生屋コンビ 7

236＊ちょっと優しいかも ページ6

『俺の言うことに適応しろよ？猛獣に食われたくなかったらなぁ！』

縁起でもないことを言うその声は、何が面白いのか愉快そうに笑う

『さぁそこの通路を真っ直ぐ歩け、小娘』

「私の名前は小娘じゃありません！」

『あ？お前は小娘で十分なんだよ』

「なっ..！？もう！ほんっとうに意地悪！」

『ふん、道案内してやってんだから感謝しやがれ...止まれ！！』

曲がり角を曲がろうとすると、猛獣が見えた

とっさに身を隠し、間一髪で鉢合わせを免れる

でも突然のことだったから本当に驚いて、しばらく心臓が早鐘を打っていた

『カッカッカ！なぁーんだ、小娘！随分と鼓動がうるせぇなぁ！』

「だ、だって急に出てくるから...え、鼓動？」

この声の人は私の鼓動の音が聞こえるの？

っていうか、どうして猛獣が出てくることわかったの？

「あの...あなたは一体...？」

『...気にすんな。オラ、先を急ぐぞ』



その後も私は、謎の声に導かれながら歩みを進めた

途中で何度も猛獣に出会いそうになったけど、その度に声が教えてくれたから危険なことは何もなかった

いくつめだろうか、最後の曲がり角を右に曲がると

「...！？ 与作様！！」

やっと見つけた！

私はその太い首に思いっきり抱きつく

「与作様ぁ！」

「ルナっ！？...ったく、どこに行ってやがったんだ！心配させやがって！」

与作様は私の頭をくしゃくしゃと撫でる

頭が取れちゃうんじゃないかってくらい激しかったけど、とても安心できた

「はっはっは！ルナちゃんはおっちょこちょいじゃのぉ！なぁラブ所長？」

「本当よ！あちしも心配したじゃない！」

...ん？ ラブ所長？

聞き慣れない声に首をキョロキョロと動かす

あれ、どこにもいない...

「ここよここ！下を見なさい！」

言われたとおり、顔を下に向けると

「...！？ ぅわぁっ！？」

そこにいたのは蜂のコスプレをした小さな...子供？

「なぁに、驚きすぎじゃないの！？」

「がははは！まぁ誰だって初めは同じ反応をするさ」

「まぁ！失礼ね！！」

所長さん？はぷりぷりと起こりながら所長室に入っていった

私達も、その小さな背中について行く

...そういえばあの声の人は？

耳を澄ませてみても、もう何も聞こえない

意地悪な人だと思ったけど、わざわざ道案内をしてくれたんだから本当は優しい人なのかな

「道案内、ありがとうございました！」

小さな声でそう囁くと



『調子に乗んなよ』




そう聞こえたような気がした

237＊罪→←235＊意地悪な声

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す