Just be Friends－truth－ (ページ24)

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「なんでいるの？」

『心配だったから』

「今の俺がどういう状況か知ってるでしょ」

『知ってるよ』

私がそう言うと、彼方は露骨に嫌な顔をした。
怒りではなく、悲しみや後悔の念を滲ませた表情を浮かべて。

「帰って」

『嫌。』

「帰ってよ」

『どうして？』

「なんでもいいから、もう、帰って」

『私はちゃんと話がしたいからここにいるの』

「今の俺じゃ、冷静になれない。…梓のことを、また疎ましく思ってひどいことを言って傷つけるかもしれないでしょ！？」

『いいよ』

は？、と彼方は訝しげな顔をした。

『…私のこと、傷つけていいよ。私は彼方の本心を知りたい。彼方を受け入れるのが私のやるべきことだもの。』

難しい言葉なんて使わなくていい。
ただあなたの気持ちを知りたいだけ。本心を、あなたの行動で知りたい。

「…」

『私は、彼方の側にずっといる』

しばらく黙って見つめ合っていた。

彼方の瞳にうつる私の姿が、揺れて、薄れていく。頑なに結ばれていた口が、何かを求めるように小さくひらく。
留紺色の髪が揺れて、懐かしい匂いが空気に舞った。

小さな子供のように、彼方は泣き出した。
近づいて、ゆっくりと彼の首に腕を回して頭を撫でる。
ふわふわとした髪はなんだか久しぶりで。自分よりも少し背の高い彼が泣き止むまでずっと頭を撫で続けた。

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鼻をすすりながら椅子に座っている彼方を横目に、淡々と飲み物の準備をする。

今日はホットミルクでいいかも。
温めたミルクと、少しの砂糖を加えてかき混ぜる。優しい匂いが鼻腔を撫でて、空気に溶ける。

温まったマグカップを彼方の前に置けば、小さく「ありがと」とお礼を言われた。

向かいの席に自分のためのコーヒーを置いて、腰掛ける。
お互い口を開かない。でも、彼方は何かを言いたそうに口を開いたり、閉じたりしている。

『…あのね』

「っ、うん…何？」

怯えた目が私をとらえた。

『明日、少し出かけよっか』

「え…、」

『気分転換に。彼方の行きたいところに行こうよ』

「でも、俺、話が…」

『それは、彼方が話したいときに話してよ。落ち着いてからでいいから。』

彼方のペースでいいよ。

彼は、救われたように笑った。

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