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プランナーさんの背中が遠くに行ったのを見届けて、彼方の方を向く。
彼方は祭壇の方へゆっくりと歩みを進めて、一歩また一歩と階段を上がる。
私もそのあとに続いて、三段ほどの階段を上る。
ステンドグラスから伸びる淡い水色と薄紫の光が、白い床を照らす。
「ここ、すごいね」
『うん』
「どうしよう、もう俺ドキドキしてる」
『あははっ、それは早すぎるよ〜』
白に青。
なんだかんだそらる、まふまふを思い浮かべてしまうあたり、私の生活は2人の曲で彩られていると言っても過言じゃないのかもしれない。
彼方を残して、私は壇上から降りた。
歩くたびにヒールの音が響くのがなんだか楽しかった。
式当日に青色のバージンロードがひかれるであろう場所をゆっくりと歩く。
『ここをウェディングドレス着て歩くのか…』
最後尾の椅子にストンと座ってみる。
彼方もゆっくりと少しうつむきながら私の方まで歩いてきて、私の座る椅子の横で立ち止まった。
「このあと、ウェディングドレスの試着するんでしょ?」
『うん、するね』
頬に彼方の手がするりと触れた。
そして、目を合わせて微笑んだ。
「俺もいっしょに選んでいい?」
『ダメで〜す』
「えっ、なんで」
『当日まで秘密にしま〜す』
「じゃあ、1着だけ一緒に選ばせて。お色直し用のドレス。」
『しょうがないなあ』
彼方のことだから、きっと青色のドレスがいいとか言うんだろうな、と考えていると、重たげな音がして真後ろの扉が開いた。
「お待たせいたしました。ご都合がよろしければ、タキシードとドレスを試着していただきたいですが…」
「はい、そうですね。よろしくお願いします」
彼方と別れて、プランナーさんと2人でドレスの並ぶ大部屋に向かう。
そこで待っていたドレスコーディネーターさんがプランナーさんから仕事を引き継ぎ、私に要望を聞いてきた。
「新婦様には、こういったイメージのドレスがいい…というご要望等はございますか?」
『すみません。あまり、イメージが湧いてなくて…』
「わかりました。では私の方で新婦様に似合いそうなドレスをいくつか選ばさせていただきますね。」
『あ、ありがとうございます』
少し微笑んだ後、コーディネーターさんはドレスに向き合った。
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こん - 無理しない程度に頑張ってください!応援してます! (2018年10月9日 18時) (レス) id: bc3ee8c138 (このIDを非表示/違反報告)
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