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#82 ページ8

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〜そらるside〜



___2014.03.21

テレビの天気予報、女性予報士が、今日は一日中快晴だと告げる。

" 今から梓の家に行く " というメッセージを梓とのLINEに入れてそのまま家を出た。

いつもならバスを使う梓の家への道も、今日は歩いた。閑静でおしゃれな住宅街を抜けて、大通りへ。そこからまたしばらく歩くと、1時間くらいで梓の家に着いた。


「……ふう」


インターホンを鳴らすと、はーい、という聞き慣れた声。
ガチャリと鍵があいた音がして、ドアから梓が顔をのぞかせた。

眩しい笑顔だった。









「今日、ご両親は?」

『あぁ…みんな出かけてるの。』

「そっか」


はい、とお茶の入ったコップが目の前に置かれた。最近新調したというダイニングテーブルからは木の匂いが香った。

梓が向かいに座る。


『それで、いきなり家に来たのはどうして?』

「えっと…」


何も知らない梓のまっすぐな目が俺を見つめた。その目に俺の決意は情けないほど崩れそうになって、"なんでもないよ"と言わせようとする。
でも、それじゃいけない。
口からこぼれそうな弱音(本心)を仕舞って、最後の言葉を言った。









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「……梓、別れよう。友達に戻ろう」







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空気が張り詰めた。

梓は目を見開いて、ぽろ、と涙が一筋頬を伝った。
抱きしめたくて、嘘だと言いたかった。でも言えなかった。
もう戻れないとわかっていたから、俺は準備していた言い訳(逃げ道)を放った。


「歌い手として…最近人気が出てきたし
まふまふとユニットを組むことになったから
歌い手業に専念したいんだ」


泣きそう。
苦しい。
それでも、言葉は止まらない。


「だから梓のこと構ってられないかもしれないし…迷惑をかけることになる」


梓の存在がバレて、歌い手業に支障が出るのも、梓に迷惑をかけるのも嫌なんだ。
それがわかってるから、俺はこの選択をしたのに、胸が張り裂けそうになる。


『私は…それでも…』


消え入りそうな梓の言葉。
やめて、それ以上は言わないで。




「ごめん」




ぽつりと謝罪の言葉が、俺の口からこぼれた。









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作者名:MiKU | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年4月6日 22時

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