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ステージ上が光り輝く。
その上で歌い、踊る3人は輝いていて。
Carry a dream
必ず届けるよ
Carry the day
人繋ぎの運命共同体
Carry a dream
何度も挫けたっていい
Carry forward
そのたびに運ぶよ
Carry forward
世界のどこに居ても
絶対見つけるから
とても、かっこよかった。
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「お疲れ様でしたぁー!」
楽屋に響くうらたさんの声。
やりきった、というような笑顔で今日の思い出を語る。
帰ろうとしていた私にセンラさんが、「楽屋で待ってて。帰り、送るから」とLINEを入れてきた。
疲れているはずなのに、優しいひとだなあと少し嬉しくなった。
「梓ちゃんは今日のライブ、どうやった?!」
コップ片手に坂田さんが聞いてくる。
『とっても素敵でしたよ。ただ…』
「やっぱり寂しいわぁ、志麻くんおらんと。」
私の言うまいとしていたことを、センラさんが言う。
それに坂田さんもうらたさんも苦笑して
「今日、紫のペンライト振ってる子を見て思ったよ。」
「浦島坂田船にはやっぱりまーしぃが必要やって。」
あーあ、早く戻ってきてくれないかなぁ
と坂田さんは笑いながら言う。
電話かけてみようや、とセンラさんが言えば目をキラキラさせてすぐにスマホを取り出した。
「テレビ電話でいいやんな!!」
「あっ、ちょ、坂田」
LINE特有の着信音が響いた後、それがパッと消えて
「え、これテレビ電話なん?」
と焦った声が聞こえた。
「まーしぃ!」
[あ、坂田。…うらたさんと、センラさんもライブお疲れ様〜!!……ちょ、待って。梓さんいるやん]
『お邪魔してます〜』
[待って、俺髭剃ってへんねんけど!!]
「まーしぃ、焦ってるし(笑)」
ドッと笑いが起きる。
志麻さんも元気そうで、とても安心した。
数時間ほど話した後、リスナーさんがほとんど帰ったことを確認して解散になった。
先に出ておく、とセンラさんに伝えてそのまま会場の外に出た。
夜風が気持ちいい。
星が輝く空を見上げていると、肩が優しく叩かれた。
そこには……
「やっ、梓ちゃん」
『楠、さん』
女の人を連れた楠さんがそこに立っていた。
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