Just be Friends－restart－ (ページ14)

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それから数日たった。

ほぼ毎日と言ってもいいほど、楠さんは私のデスクにやって来た。
嫌そうな顔をしながら船山先輩が帰らせようとするが、そんなの御構い無しだった。

『はあ…………』

[なんかあったの？]

Skypeから彼方の声がする。
いけない。忘れてた。

『なんでもないよ。』

[そっか]

楠さんのことを言ってしまったら、きっと心配してしまうだろうから。
ワンマンツアーをすることとソロアルバムを出すことを誰よりも早く教えてもらったし、それの邪魔をしたくない。

『そういえば、明日ね。浦島坂田船のライブ行ってくる』

[へえ、いってらっしゃい]

『怒らないの？』

[怒るも何も…梓の好きなことの邪魔したくないしさ、]

嫉妬はするけど、という小さな声は聞き逃さなかった。

[楽しんで来なよ]

『うん、ありがとう』

それからもしばらく喋って、夜が更けた頃に彼方の寝息が聞こえたからSkypeを切った。

カラカラと窓を開けて、外を眺める。
夏の夜は蒸し暑いはずなのに、吹いている風は涼しいというより冷たく感じる。

あぁ、きっと寂しいんだな

『会いたいなぁ、彼方』

大人になったはずなのに。
ついこの間会ったはずなのに。

大学生の頃よりも、寂しがりやになっているのは、気持ちが弱くなるのは、何でだろうか。
空気に溶けていくような気持ちになるのは何故なのか。
また温まりを知ってしまったからなのか。

"好き"が言えない、そんなもどかしさが体を走る。

翌日

浦島坂田船の夏ツアー。

今回の愛知公演は、志麻さんが急性虫垂炎で出演キャンセルとなってしまった。

手術をするという志麻さんに色紙を送りたいと船山さ…センラさんに伝えると、楽屋に持ってきてほしいと言われた。

名古屋の会場で会いたいと言ってくれたフォロワーさんと会った後、一度センラさんに連絡を入れる。

センラさんは楠さんの件から私のことをよく心配をするようになった。過保護という言葉が似合いそうだ。

『会場着きました、っと』

＞＞了解。リハ今終わったし楽屋来てな(^^)v

『相変わらず既読が早いなぁ…』

迎えに来たスタッフさんに連れられて、楽屋に向かえば、楽しそうに話すうらたさんと坂田さん、センラさんがいた。

3人宛の色紙と、志麻さん宛の色紙を渡せば「俄然やる気出てきた！」と喜んでくれる。

「俺ら、まーしぃの分まで頑張るから。ちゃんと見ててくれよ」

『…はい！』

幕が上がる

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