こんぷれっくす【うらたぬき】

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わたしは現在、自分史上最高に緊張している。

待ち合わせの30分前に着き、3分に1回スマホで髪型をチェックしている。


だれと待ち合わせをしているのかというと、うらたさんだ。そう、なにを隠そう、今日は映画を観る日なのだ。


(緊張して吐きそう…)



服はあーでもないこーでもないと言いながら頑張って自分なりにかわいい服を選んだつもりだ。

いつもは着ないようなかわいらしい服。どうしても落ち着かない。



｢早いね｣
｢…！？｣

突然背後から声をかけられ、心臓が止まる程びっくりした。


しかも、その声はわたしが大好きな声で。



｢おはようございます…！｣
｢ん、おはよ｣


うらたさんは縞模様のシャツに黒スキニーと割とシンプルな服装だが、わたしには誰よりもかっこよく見える。

帽子もいいし、マスクしててもかっこよさが滲み出てる。



｢かっこいい…｣



無意識のうちにそんな呟きが漏れていた。

うらたさんは少し照れたように｢ありがとう｣と笑った。

その笑顔に胸がぎゅーっと締め付けられる。



｢Aちゃんもかわいいね。前会った時と雰囲気違う｣
｢変、ですかね…？｣
｢似合ってるよ。俺は好き｣


ちゃんと気付いてくれた。メイクも服もかわいくしたのちゃんと気付いてくれた。それだけでも幸せなのに、

『俺は好き』

その言葉だけで半年は生きていける。


喜びを噛み締めていると、｢置いてくよ｣といつの間にかうらたさんは少し離れたところにいた。


｢ま、待ってください！｣
｢…あとヒール履かなかったのえらい｣


追い討ち！ここでまさかの追い褒め！しかもなにその着眼点！やっぱり背低いの気にしてるんですね！かわいい！すごいかわいい！


｢…今絶対失礼なこと考えてるでしょ｣
｢考えてません！うらたさんの背が低いとか全然！｣
｢やっぱ置いてく｣
｢ごめんなさい冗談です｣


そういうとうらたさんは優しく笑って｢置いてかないからゆっくりおいで｣と言ってくれた。




あぁ、好きだなぁ。





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