【暗殺教室】あなたの視線の先には。Ⅳ (ページ6)

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＃148 ページ6

『浅野…！』

私は浅野の元まで走って寄ろうとしたが、
理事長室の真ん中に立っている理事長と目が合った。

その目は、何も写していない、ただの闇だった。
私は恐怖で足がすくんで、そこから動けなくなっていた。

部屋の壁にまで飛び散った血、倒れ込む屈強な外国人留学生。

これ、理事長がやったのか…

「私が、空手の黒帯を倒したのはね…空手を初めて３日目だった」
『は…？』

私と目があったあと、すぐに目を逸らして理事長は話し始めた。

「１日目はコテンパンにやられた。
　30過ぎたおっさんがゲロを吐いて転がった。
　これまでにない屈辱を味わって、さて…２日目は何をしたと思う？」

理事長が再びこっちを向いて、私は体をこわばらせた。
私は理事長の問いかけに何も答えることなく、理事長はそのまま話を始めた。

「ただ、見ていた。
　尋常ではない屈辱の炎に焼かれながら、もしも次も負けたら…
　多分私は自分の人格を保てなくな理、発狂死するだろうと。
　そして３日目、一発も触れさせずに師範を倒した…
　敗北から学ぶとはそう言うことだ」

敗北から、学ぶ…
なぜ、殺せんせーと理事長は…
同じ教え方のはずなのに、こんなにも違うのだろう。

理事長は、まっすぐ浅野の方へ行き

「ね、浅野君。
　負けたと言うのになぜ君は、死ぬ寸前まで悔しがってないのかな」

化物だ…

浅野も、一歩も動かず話を聞いていた。

「さて、お待たせしてすまないね逢坂さん。話をしようか」

理事長は、いつものように椅子に座り直して肘をついた。
その机の上にも、自分で倒した外国人が倒れ込んでいると言うのに。

尋常じゃない…
正真正銘、やばいやつ。サイコパスだ。

「率直に言おう。意味にはA組に復帰してもらいたい」
『…なぜですか？私は以前にもそのお誘いはお断りしたはずですが』
「今日の棒倒し…E組の作戦は君が率先して考えたんだろう？」

なんでそんなことまで知ってるんだよ、この人。

『それがA組復帰の理由になるとでもお考えで？』
「はは、君のその頭脳はE組に置いておくのはもったいないと、前から思っていたんだ」
『以前お断りしたのはお忘れですか』
「忘れるわけないだろう。ただ…気になっていてね」

気になっていること…

「なぜ、成績も良く運動神経も良い君が、そこまでE組に残りたがるか…ね」