【暗殺教室】あなたの視線の先には。Ⅳ (ページ42)

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＃183 ページ42

『浅野さぁ、なんか雰囲気柔らかくなったね』

最寄駅で降りて、家までの道を話しながら進む。

「…さぁな、自分ではわからん」
『だろうね。昔はもっとE組は絶対潰す！って感じだったのに』
「それだけが強さじゃない…それ以外でも君らに勝てるものはいっぱいある」

浅野は私の一歩先を歩きながらそう言った。

やっぱ変わったなぁ…

『私たちさ、１学期の期末に担任の先生から全員50位以内を取れって言われてたんだよね』
「…」
『無理だと思わない？私たち落ちこぼれが、急に50位以内だなんて。
　まぁ結局無理だったんだけど。
　そこで私たちは改めて敗北を知った。
　自分の力を過信してた人、もとより無理だろうと諦めてた人、
　いろんな人が、そこで敗北を知って、私たちは強くなった』

私は立ち止まって話し始めた。

『私たちE組は、この1年で信じられないほど成長した。
　それは浅野も薄々気付いてたでしょ？』
「…確かに、E組は前と比べて結果がすごく伸びている。
　学力だけでなく、その他の部分でも…
　それはもちろん、僕だけでなく本校舎の生徒、理事長も理解している」

浅野はそういうと、振り返った。

『私たちは今回のテスト、１学期のリベンジとして全員50位以内を狙ってる。
　50位以内に入れば、本校舎復帰の資格を得られる。
　でも、私たちは本校舎復帰が目標じゃない…
　「堂々と本校舎復帰の資格を獲得して、堂々とE組として卒業する」
　これが私たちの今の目標だよ』

私はそう言って、私は笑った。

『殺す気でやる。
　だから浅野も安心して私たちを殺りにきなよ』
「…ふ、望むところだ」

私たちは、そう言ってそれぞれの家に帰った。

「おかえり、A」
『お母さん！今日は早かったんだね』
「え、えぇ…」

私が家に入ると、玄関には気まずそうに笑うお母さんがいた。
なんでそんな…と思いながら靴を脱ごうと、下を見た時。

『…お父さんがいるんだね』

視界の端に、お父さんの靴が入った。
なるほどな…私がお母さんからの連絡を見てなかったのか。

改めて携帯を確認すると、確かに連絡が入っていた。

「…ねぇA。
　いい機会に、ちゃんと話してみない？」
『…でも、お父さんはわたしの話なんて聞くかなぁ』
「ちょっとでも興奮し始めたら、お母さんがちゃんと止めるから…ね？」

お母さんにそう言われたら、断れないじゃん。

わたしはお母さんに背中を押され、リビングに入った。