＃182 ページ41
「彼らは高校に進んでからも僕の手駒だ。
偏った強さの手駒では、支配者を支えることはできないんだ。
時として敗北は、目を覚まさせる…
だからどうか、正しい敗北を俺の仲間と父親に」
そう言って浅野は、私たちに頭を下げた。
あのプライド高い浅野が落ちこぼれに頭を下げるなんて…
よっぽど困ってるんだ、今のA組の現状に。
「えー？他人の心配してる場合？
1位とるの君じゃなくて俺なんだけど？」
そう言ってカルマは浅野を煽り始めた。
…本当そういうところだよ、カルマ…今いい雰囲気だったじゃん。
浅野も、少し頭に来たようだ。
「言ったじゃん、次はE組全員容赦しない…って。
1位は俺で、その下もE組。
浅野くんは10番くらいがいいとこだねー」
「おーおー、カルマがついに1位宣言」
「1学期末と同じ結果はごめんだけどね」
カルマが1位宣言したことによって
1学期末の結果がみんなの中で掘り起こされたらしい。
「次は俺にも負けんじゃねーのかぁ？」
と、寺坂がカルマの肩を掴みながら言った。
前髪でよく見えないけど、めっちゃ恥ずかしがってんな、あいつ。
すると寺坂の首根っこを掴んでお腹に膝蹴りをしていた。
いたそう…まぁ寺坂だから大丈夫か。
「浅野、今までだって本気で勝ちに行ってたし
今回だって勝ちに行く。
いつも俺らとお前らは、そうしてきただろ？
勝ったら嬉しくて、負けたら悔しい。
その後は立て付けなし。
もうそろそろ、それでいいじゃんか。
こいつらと、戦えて良かったって…お前らが感じてくれるよう、頑張るからさ」
磯貝がみんなの意見をまとめるように言った。
「余計なこと考えずにさぁ、殺す気できなよ。
それが一番楽しいよ」
カルマが首を切るようなジェスチャーをして言った。
浅野も、ふ、と笑って
「面白い、ならば僕も…本気でいかせてもらう」
こうして、浅野の依頼を快く受け入れることに。まぁ元々、私たちは勝つ気だったけどね。
『浅野、久々に一緒に帰ろう』
「…どういう心境の変化だ」
さっきまでの話が終わり、みんなが浅野と別れる時
私はそう言った。
『なんもないよ、ただの私の気まぐれ』
「…赤羽と帰らなくていいのか」
『なんでカルマ？』
「付き合っているんだろう」
なんで浅野が知ってるんだか…
どっから情報流れてるのかね。
『そうだけど、どうせ家近いじゃん。
話したいこともあるしさ…』
「…遅かったら置いていくからな」
『うん』
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作者名：Suu | 作成日時：2020年5月5日 2時
