【暗殺教室】あなたの視線の先には。Ⅳ (ページ37)

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＃178 ページ37

法田ゆうじ…

ゆうじ…

「ゆうじくん…」
『あいつブロガーだったの？』

“椚ヶ丘の学園祭で、めっちゃ美味い出店と出会いました。
詳しいメニューは次の記事で書くけど、人生観変わりました。

不利な立地を逆手にとった、自給自足の食材の数々
欠点や弱点を武器に変える。
店で働いてた友達がそう言ったのを聞いて、
偉大な親の前に隠れて甘やかされ
どこかそれを後ろめたく思ってた自分が、なんか…アホらしくなりました。

甘やかされた小遣いだって、自分の武器。
みんなの役にたちゃいいので、開き直って開き直ってお勧めの情報を発信します！

まずは、人生観が変わる山の上の店。
味わえるのは、あと１日だけ！”

ゆうじくんのブログには、そう書いてあった

『随分と嬉しいこと書いてくれてんじゃん』
「だね、ほらお客さんきたよ！」
『はーい、いらっしゃいませー！』

私はカエデに背中を押されて
お盆を持って席に向かった。

『いらっしゃ…って、お母さん！？』
「あはは…来ちゃった…」

そう言ってお母さんは苦笑いを浮かべた。
来ちゃった、って…

『私、お母さんに学園祭のこと言ってないのに…なんでわかったの？』
「…担任の先生からね、連絡があったのよ。
　ぜひ来てあげてください、って…だから、仕事の合間に行ってみようって」
『先生から…』

私はお盆を持ったままボーっとしていた。
が、今仕事中だと言うことを思い出し、急いで教室に戻ろうとした。

すると

「A、休憩入っていいよ」

と、教室から渚とカルマが出てきた。

『で、でも今忙しそうだし…』
「ちょっとくらい大丈夫だよ。
　お母さん来てるんでしょ？話してきなよ」

そう言って私からお盆を取り上げたカルマは背中を押して教室の外に放り出した。

「はいこれ、どんぐりつけ麺。
　いってらっしゃーい」

私が後ろを振り返ると、渚とカルマが笑顔で手を振って扉をしめた。

…いくか。

『…お母さん、これ。
　うちの看板メニュー』
「ありがとう。仕事はいいの？」
『休憩入っていいよって言われたからさ…』
「そっか」

お母さんは割り箸を手に取って、早速食べ始めた。

「…これすごく美味しいね。
　全部クラスの人と作ったの？」
『うん。食材も裏の山でとった新鮮なものを使ってるんだ』
「へぇ、すごいね…中学生のクオリティじゃないもの」

そう言ってどんどん食べ進めていくお母さんを、私は水を飲みながら眺めた。