【暗殺教室】あなたの視線の先には。Ⅳ (ページ32)

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＃173 ページ32

「これ以上E組に残ってなんになるって言うんだ」

将来にも関わってくるんだぞ、とお父さんは立ち上がって私に詰め寄る。
いつもなら私も、高圧的な態度で、反抗していた。

だけど…それだけじゃダメなんだって思った。

『お願い、お父さん。
　私をE組に残らせて欲しいの。
　ちゃんと結果も出す。
　高校はお父さんの望む通りのところに行く。
　引越しも、なんだってお父さんの言う通りにする。
　だから…だから、お願い。
　あと少しの間だけは、今のクラスで過ごさせて』

私はそう言ってお父さんに頭を下げた。

「…Aはきっと、担任やクラスの人にたぶらかされてるんだ。
　少しの猶予をやる。もう一度、しっかり考えなさい」

お父さんは、そう言って鞄を持つと、家を出て行った。
仕事に戻ったんだろうか。

『…』
「A…」

お母さんが、私にゆっくりと近づいてくる。

『お母さん…私、E組にいたい。
　あんなに楽しくて幸せな教室、初めてだから』

私は真っ直ぐ目を見て言った。
お父さんが認めてくれるまで絶対にあきらめない。

殺せんせーなら、一緒にお父さんを説得してくれるかな…

『って言うわけなんだけど…近いうちに、お父さんとお話ししてもらいたいの。
　また、烏間先生に変装してもらうことになりそうだけど…いいかな？』

次の日、私は職員室で殺せんせーに、昨日のことを話した。

「もちろんです」
『…ありがとう、殺せんせー。
　私の言葉じゃ、お父さんには認めてもらえそうになかったから…』

私が苦笑いを浮かべてそう言うと
頭に触手の感触がした。

「そんなことありません。
　きっとAさんの言葉も、お父さんには響いているはずです」
『…そうだと、嬉しいな』

私は殺せんせーにお願いをして、教室に戻った。
クラスでは、もう直ぐ訪れる学園祭に向けて準備を始めていた。

こんな時期にこんな頼み事、ちょっと迷惑だったかなって思う。
けど…私はE組で最後まで、殺せんせーを暗殺し続けたい。