【暗殺教室】あなたの視線の先には。Ⅳ (ページ27)

今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:10,153 hit

＃168 ページ27

『…でもまぁあんまり重く考えないでよ。
　私は、烏間先生があいつをボコってくれたから、結構スッキリしたし。
　今死神が来ても、ちゃんと断れる気がするんだ』

私はあはは、と笑った。
…まぁ、クラスの雰囲気は重いままなんだけど。

「そんなことがあったのね…」

原ちゃんが徐に口を開いた。
それをはずみに、みんなも一斉に話し始めた。

「いつも楽しそうだったから、そんなの気づかなかったよ…ごめんね」
「こうして生活しながらも怯えてたなんて」
「なんで、言ってくれなかったんだ？」

なんで、かぁ…

『怖かったの。
　結局は命ごと狙われてるようなもんでしょ？
　だから、私のせいでみんなが傷ついたらどうしようって思ったら、話せなかった』

親にも、話せずにいた。
親に話して、大好きなお母さんまで巻き込んでしまったら、と思うと不安だった。

誰にも相談もできず、私はただただ一人で怯え続けてた。
でも、それでいいとも思ってたの。

私一人で抱え込めば、誰も傷つくことはないでしょ？
みんなに被害が及ぶのは、どうしても嫌だった。

死ぬときは一人で、みんなに忘れられて死んでいきたい、
いつもそう思って生きてきた。

でも、E組に入って、殺せんせーが来て、
なんか、そんな気持ちがどっかに行っちゃったんだよね。

『このクラスなら、大丈夫かもって。
　今までは平気だった隠し事も、できなくなっちゃった。
　みんなには隠し事したくなかったの。
　全てを打ち明けても、受け入れてくれるといいな、って思ってた』

私はいつの間にか目が潤んでいた。

『こんな、私でも受け入れてくれる？
　私は、このクラスが大好きだから、どんな返事でも受け入れるよ』

私は笑顔でそう言った。
どんな結果でもいい。
ちゃんと話せたことに、きっとちゃんと意味がある。

「受け入れないなんて言えないよ」
「過去は過去、今は今でしょ。過去なんて関係ないよ」
「今のAといるのが、すごく楽しいんだから」

メグ、桃花ちゃん、カエデが順に言ってくれる。

こんな私でも受け入れてくれた。
その事実が、嬉しくてしょうがなかった。