【暗殺教室】あなたの視線の先には。Ⅳ (ページ21)

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＃162 ページ21

『カエデ！！』

私が走り出すのを渚に止められる。

「僕に、やらせて」

渚はそう言うと、一歩ずつ、ゆっくりと死神に近寄って行った。
渚の手には、スタンガンが握られている。
猫騙し…

だめ、死神は本当に強い。
みんなが思ってる以上に…

猫騙しが、効くはずもない。

私がそう言おうとした瞬間、渚は、死神の猫騙しによって倒れ込む。
そのまま死神はカルマの方へ。

結局、一人ずつやられる。

みんな、死神の攻撃を受けて倒れていく中、私だけが、座り込んだまま動けなかった。

「ま、こんなものか…
　人数が足りないようだが」

渚が座り込むように倒れ、死神は静かにそうつぶやいた。

「…まさかこんなところで再開出来るだなんて思ってもなかったよ、A…」

気配が見えない。どこにいるのかさえも、わからなくなってきた。

「君との約束、守るから待っててね。
　ただ、今はまだ早すぎる。
　だから、少しの間、眠ってて、ね？」

目の前まで死神の拳が迫ってくる。
痛みを感じるまもなく、私の意識は飛んだ。

『ん…』

目が覚めると、先ほどとは違うところに、また閉じ込められていた。
急な明るい光に、少し目が眩むけど、あたりを見渡す。

「あ、A。起きた、よかった…」

私の横には、渚が座っていた。
腕は縛られている。足は縛られてないから、移動はできる…

ただ、最後に殴られた頭が痛い。

「どんな方法で殺せんせーを殺ろうとしてるのか知らないけど、
　そう計画通りに行くのかねー」

私の目の前で、同じように腕だけを縛られた状態のカルマが言った。
カルマの目線の先には…

『死神…ビッチ先生…』
「たとえどんなに情報不足でも、結果を出す。
　それが世界一の殺し屋だよ。…ん？」

死神が携帯を取り出す。
それを見たビッチ先生が

「…烏間？」

とつぶやいた。

まさか、烏間先生がこっちに来ているのか…

「タコが言った。
　生徒に越せない壁があるのなら、その時は先生の出番です、と」
『だめ、これ以上人が来ても犠牲者が増えるだけ…』

そうは言っても、烏間先生に連絡が取れるわけでもない。

どうすれば…

「落ち着いて、A…」
『カエデ…』
「大丈夫だよ、烏間先生が来てるってことは
　きっと殺せんせーもきてるはず…助けてくれるよ」

…違う。
助けられないかもしれない、と言う不安じゃない。

烏間先生も、殺せんせーも、殺されるかもしれない、と言う不安だ。
　