【暗殺教室】あなたの視線の先には。Ⅳ (ページ19)

今日:7 hit、昨日:20 hit、合計:10,168 hit

＃160 ページ19

「あそこが入り口か…」

茂みに隠れながら、私たちは侵入経路を確認した。

「空中から確認したが、周囲に人影はない」

イトナのドローンで空中から様子を見てもらって、
周りに人がいないことをしっかり確認した。

「律、12時を過ぎて戻らなければ、殺せんせーに事情を話して」
「はい。みなさん、どうかご無事で…」

原ちゃんも律にそう伝え、
おそらく今までで一番緊迫した雰囲気に。

「よし、いくぞ」

もしもの時のことも考えて、その時は律に任せることにした。
そして私たちは忍足で建物の中に侵入した。

周囲をしっかり確認しながら、慎重に中に進む。

「だだっ広いな…」

前原がそうつぶやいた。
確かに、何もない、ただただ広いだけの空間についた。

すると

【全員きたね。それじゃ、閉めるよ】

と、耳障りなハウリングの音を立てながら
アナウンスが流れた。

その声は、死神の声だった。

ドアの閉まる音、それのすぐ後に鍵が閉まる、かちゃ、と言う音。

「ふーん、やっぱりこっちの動きはわかってるんだ？
　死神って言うより、覗き魔だねー」

カルマはそう言いながら、上の方を見つめていた。
私はできるだけ誰かの近くにいよう、とカルマのすぐ後ろあたりで静かにしていた。

「約束は守ったでしょ。
　ビッチ先生さえ返してくれればそれで終わりよ！」

メグが、仕掛けられたカメラに向かってそう叫んだ。
すると、なんの返事も、合図もなく

部屋全体が揺れた。

「な、何！？」
「部屋全体が下に…！

部屋ごと下に移動してるってこと…？
こんな大掛かりなこと、なんで…

そして、完全に下に降りた頃、私たちの目の前には
牢屋のような鉄の柵と、その奥にいる死神の姿があった。

「捕獲完了、と。
　こうやって一気に捕獲するのが、一番リスクがない」

そう行った死神のさらに奥には、縄で縛られ吊るされているビッチ先生がいた。

『ビッチ先生！』

男子たちは必死に壁を叩いている。

「大丈夫、奴が大人しく来れば、誰も殺らない」
「俺たちが反抗的な態度をとって、怒って頭撃ち抜かれたりは…」
「しないよ。子供だからってビビりすぎだろ」

私はみんなの影に隠れながら、必死に隠れてやり過ごす。

「…A、大丈夫？」

背中を借りていたカルマにコソッと聞かれ、
私は静かに頷く。

そっと顔だけ出して死神の様子を伺うと、
うっかり、目があってしまった。

やばい。