＃158 ページ16
「そういえば、今日の決勝戦は絶対に行くって言ってたな」
そうだったっけ？
『私殺せんせーの話聞いてないから知らなかった。そんなこと言ってたんだ』
「…逢坂、もしかして怒ってる？」
渚が私に向かって言う。
『…当たり前じゃん。私はちゃんと反対したし、止めもした。
それでも無理やり決行して、ビッチ先生怒らせたのは、みんなでしょ』
「で、でも逢坂だってプレゼント買いに行って…」
私がゲームを閉じてそう言うと、
吉田がでも、だって、と言ってきた。
…あぁ、こいつら知らないんだ。
『あのさぁ…私、前原に騙されてたんだけど？
そもそも私はその計画聞いた時から乗り気じゃなかったし。
前原に渚達と誕生日パーティーの買い出しに行ってきてくれって言われたから
行ったら案の定、烏間先生に渡してもらうためのプレゼント選び。
逆にこんなことされて怒らない奴いんの？』
私が立ち上がって吉田に近づきながら言うと
クラス内がシーン、と一瞬静かになった。
「す、すまん…」
「って言うか前原そんなことしてたの！？」
「買い出しって言ったらプレゼントだろ、間違ったこと言ってなかったはずだけど…」
「誤解しやすい言い方すんな！」
ひなたちゃんが前原の頭を一発殴る。
ひなたちゃんがやってくれたおかげで、ちょっとスッキリした。
「ビッチ先生大丈夫かな…」
「ダメ、電話もつながらない」
「GPSや、公共の監視カメラにも気配がありません…」
まぁ、私たちの前では教師やってたけど
一応プロの暗殺者だし。
誰にも悟られずに姿を消すことも容易いことなんだろうな。
「まさか、このままバイバイ、なんてないよな…？」
「そんなことはないよ。彼女にはまだやってもらうことがある」
千葉がそう言った時、教室の前のドアから人が入ってきた。
花屋さん…！？
なんでここにいるの…？
私は椅子から立ち上がって後退りした。
「だよねー。なんだかんだ、いたら楽しいもん」
「そう、君たちと彼女の間には十分な絆ができている。
それは下調べで既に確認済みだ」
なんで、みんなこんな平然として…
「僕はそれを利用させてもらうだけ」
花屋さんは手に持っていた白い花の花束を教卓においた。
それと同時に、みんなもあの人が教室に溶け込んでいることに気がついた。
警戒心の強いカルマでさえ気付かなかった…
こいつ…
「僕は、死神と呼ばれる殺し屋です。
今から皆さんに、授業をしたいと思います」
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作者名：Suu | 作成日時：2020年5月5日 2時
