＃143 ページ1
また悪いこと考えてんな。
相変わらず悪いこと考えてる時の浅野は理事長にそっくりだ。
「闘志？」
「うちの校風はね、社会に出て戦える志を持つものを何より尊ぶ。
違反行為も帳消しにできる尊敬を得られる闘志…それを示すには？」
「体育会の棒倒し？」
翌日、教室で昨日起きたことを全て話した。
「そ。A組に勝てたら見逃してくれんだとよ」
「はっ、俺らに赤っ恥かかせる魂胆が見え見えだ」
運動神経で言えば、確かに…
「どうするよ。勝たなきゃ磯貝がまたペナルティだ。
下手すりゃ退学処分もあるんじゃね？」
『ちょっと、わざわざ不安を煽るようなこと言わないで』
確かに、一回見つかってE組行き。
2回目ともなると、退学もありえるよな。
「いや、やる必要はないよ、みんな」
ずっと黙って話を聞いていた磯貝が口を開いた。
「浅野のことだから、なにしてくるかわからないし。
俺が撒いた種だし、俺が責任を持つ。退学上等！
暗殺なんて、校舎の外からでも狙えるしな」
……
少しの沈黙が流れた。
イケ…メンではないな。
と、みんなが磯貝に怒る。
「難しく考えんなよ、磯貝。
A組のガリ勉達に棒倒しで勝ちゃいいんだろ？楽勝じゃんか」
そう言って磯貝の机にナイフを立てた。
そこに男子達が一斉に集まってくる。
『E組はE組らしく、A組を殺すつもりでぶっ倒せばいいよ』
「…逢坂ってよく、男子に混じるよな」
『まぁ、男子といる方がなんか気楽だなって思うし。
棒倒し、女子は参加できないけど作戦立てるくらいなら手伝えるでしょ？
これでも、マッハ20の怪物殺そうとしてるんだし…A組ごとき、倒すのなんて簡単でしょ』
私は律にもたれかかってそう言った。
『私たちとA組じゃ頭の柔らかさも、戦力も違うんだからさ』
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作者名：Suu | 作成日時：2020年5月5日 2時
