＃103 ページ10
「危険な場所に潜入させてしまいましたねぇ。
危ない目に遭いませんでしたか？」
「ううん」
「ちっとも！」
殺せんせーが帰ってきた私たちを心配してくれたけど…
正直思ってたより何もなかった。
「ふー…」
渚が一層疲れた様子で、着替えから戻ってきた。
「あれ、着替えるの早いね、渚」
「うん…」
「？どうしたの？」
渚が手に持っていた服を握り締めて
「結局、女子が全部やってくれたし…
僕がこれ着た意味って…」
「面白いからに決まってんじゃーん」
『いいもの見せてもらったよ』
私とカルマでスマホで撮った写真を見せつけて2人揃って言った。
「撮らないでよ！！」
渚がカルマに抗議しているが、私には何も言わないのか…
と思いつつ先に進まないと時間がない、ともう一度全員で最上階へと進みはじめた。
「あのまま行けばよかったのに。
暗殺者が女に化けるのも歴史的にもよくあるぞ」
「磯貝くんまで…」
私は一番後ろでカルマと一緒にホテルの侵入経路を確認しながらみんなについていく。
「A、さっきのフロア大丈夫だった？」
『何がー？』
「ナンパとかされてないかなって」
ナンパ…途中のあれは、先頭のみんなで私のことはほぼ見えてなかったはずだし…
特にこれと言って何もされてない…と思う。
『そもそもこんなちんちくりんな女をナンパする奴いないでしょー』
私が笑いながら言うと、カルマは私の顔を覗き込んで
「俺なら迷わず声かけちゃうけどねー」
「そこ！イチャイチャしない！」
『してないよ！？』
私たちの前にいたメグに怒られる。
私なんもやってないんだけど…
カルマは笑ってるし…張本人なのに。
「ここからはVIPフロアです。
ホテルの者だけに任せず、客が個人で雇った見張りを置けるようです」
律の説明通り、VIPフロアに続く階段の前には屈強そうな男の人が2人。
「私たちを脅してる奴らの仲間なの？
それとも、無関係の人が雇った警備…？」
『この際どっちでもいいでしょ』
「どっちにしろ倒さねぇと通れねぇんだ」
私と寺坂の意見が初めて合致した気がする。
「その通りです寺坂くん、Aさん。
そして倒すには、君が持っている武器が最適ですねぇ」
殺せんせーは寺坂を見てそう言った。
そういえば寺坂、ずっとリュックサックみたいなのを持ってる。
武器をその中に入れてきてたのか…
「ったく、透視能力でもあんのかテメェは…」
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作者名：Suu | 作成日時：2020年4月7日 1時
