＃135 ページ42
試運転をするため、とりあえずこの校舎内を走らせることにした。
教室から飛び出し、廊下を走る戦闘機の映像がコントローラーに映る。
『おおー…いい感じ』
そう言ったのも束の間、カメラに足が映った。
…どうやら、ビッチ先生と話し込んでた女子数人が、職員室から出てきたようだ。
「…見えたか？」
少しの沈黙の後、岡島が口を開いた。
「いや…カメラが追いつかなかった…視野が狭すぎるんだ」
「なぁ、カメラもっとでかいのに出来ねぇのか」
「重量がかさむ。機動力が落ち、標的の捕捉が難しくなる」
男子が岡島に続いて話し込む。
いや、さっきよりも真剣な顔してんじゃないよ…
「ならば、カメラのレンズを魚眼レンズにしたらどうだろう」
竹林もそう言う話乗っちゃうタイプなんだ…
まぁ、メイド喫茶行ってるくらいだしなぁ…
私は静かにスマホを取り出し、録音ボタンを押してパーカーのポケットに突っ込む。
「送られた画像をCPUを通して歪み補正すれば…
小さいレンズでも、広い視野を確保できる」
そういうの、詳しいんだったら他のとこでもっと有効活用できるでしょ…
「わかった。視野角の大きい小型魚眼レンズは俺が調達する」
岡島…
あーあ、なんか呆れてきた…
でもまぁ、みんな私がいること忘れたみたいに話し込んでるし、
録音したやつ後で女子のグループラインで送っちゃお…
「律」
竹林が律を呼ぶと、本体が動き律が姿を現す。
律まで巻き込んじゃって…どうなっても知らないよー、と思いながら真剣な男子の話を聞く。
「歪み補正のプログラムは組めるか」
「はい！用途はよくわかりませんが、お任せください！」
「天才だな、竹林…」
「録画機能も必要だな」
「あぁ…！」
まるで何かのドラマの一部みたいになってるけど…
みんなして覗きに本気になりすぎじゃない…？
女子の私がここにいることが気づかないほど集中してんの…？
試作品0号、と適当に名付けられた戦闘機は校舎を出てすぐの階段から転がり落ち…
カメラは何も映らなくなった。
『あらら…』
「段差に強い足回りも必要じゃないか？」
まぁ、それはそうだけど…
復帰させに木村が走って教室を出た。
「俺が開発する。金属加工には、覚えがある」
よ、吉田…
あんたまでそっちに協力しちゃうんだ…
まぁ寺坂組って馬鹿だしなぁ…
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作者名：Suu | 作成日時：2020年4月7日 1時
