＃122 ページ29
ガヤガヤと人の声。
時々聞こえてくる屋台の声。
揺れる提灯。
『わー。祭りとか久しぶり』
「俺もー」
私はあの後浅野に
『友達に夏祭り行こうって誘われたから今日はもう帰っていいよ』
と言ってとりあえず帰らせた。
その後はお母さんに浴衣の着付けをやってもらい、
ヘアセットをやってもらっている間に自分のメイクを済ませ…
家を出る直前、カルマからの連絡に気付いて見ると
「お祭り行くなら一緒に回らない？」
という文面に「いいよ」と返信して祭り会場に向かった。
『カルマがこういうの来るの珍しいね』
「んー…まぁ、Aが行くならと思って」
『…そういう恥ずかしいこと平然と言うのやめようよ』
「え、ふつーじゃない？」
私たちがそんな会話をしてると、後ろから肩を叩かれ振り返ると
『あ、渚とカエデだ。来てたんだねー』
「うん」
「Aの浴衣可愛い〜」
さっき向こうで有希子ちゃんとか見かけたし、陽菜乃ちゃんとかも見たし…
意外と人集まってんじゃん、殺せんせー。
カルマが私の頭に肘を置いてきた。
「おれらこっちいくから、じゃあね」と言って私の腕を引いて人混みに紛れる。
『私りんご飴食べたいからカルマ奢って』
「いいよー」
私たちはざわつく3人をそっちのけで屋台の方へ向かった。
「デートだねー」
『初デートが夏祭りとかベタだねー』
「いやいや、初デートは肝試しでしょ」
『うわー最悪じゃん…』
さっき言ってた通りにカルマにりんご飴を買ってもらい、ひたすら歩く。
浴衣って歩きにくいし苦しいし暑いしそんなに好きじゃないんだよね…
パァン、という音の後に「おぉ」という歓声が聞こえてきて
気になってカルマの腕を引きそっちに行くと
『あ、速水ちゃん、千葉』
「あ、A」
「カルマと一緒か」
『2人もきてたんだね〜」
屋台に行くと、千葉、速水ちゃんのスナイパーコンビが射的を楽しんでいるようだった。
…足元には大量の景品が転がっているが。
「すご、それ全部とったの？」
『わー…さすがだねぇ』
その後は普通にジュース買ったり屋台で何か食べたり…
途中から、所々の屋台で見覚えのある巨体が見えたのは気のせいってことで…
そんなこんなしてると、いつの間にか花火が上がる時間になっていた。
『久々だよ、こんなに遊んだの』
「…勉強ばっかりで疲れてたんならいい気分転換になったんじゃない？」
『まぁね…こればっかりは殺せんせーに感謝しないと』
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作者名：Suu | 作成日時：2020年4月7日 1時
