【暗殺教室】あなたの視線の先には。Ⅲ (ページ18)

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＃111 ページ18

「これは俺と潮田渚くんの大切な時間を邪魔されたくないだけだ」

これでもう、誰も登ってこれない…
渚と鷹岡の邪魔をする奴はいなくなったってか…

「俺がやりたいことはわかるよなぁ？」

鷹岡は渚の足元に置いてあるナイフを指差して

「この前のリターンマッチだ」
「待ってください、鷹岡先生。戦いに来たわけじゃないんです…！」
「だろうなぁ、この前みたいな卑怯な手はもう通じねぇ。
　一瞬で俺にやられるのは目に見えてる。だがなぁ…
　一瞬で終わっちゃぁ、俺も気が晴れねぇ」

あの人、ちゃんと日本語わかってるのか心配になってきた…
やっぱ冷静に話し合いなんてできっこない。

「だから戦う前にやることやってもらわねぇとねぇとなぁ…」

渚…

「謝罪しろ。土下座だ」

謝罪…
『はは、謝罪してほしいのはこっちだっての…』

どんだけトラウマ植え付けられてると思ってるんだよ…
教育だと言った生徒への暴力。
今からでも遅くない。警察に言ってしまえさえすればあいつは捕まるはずなのに…

「実力がないから卑怯な手で奇襲した…それについて誠心誠意…な」

渚は静かに座り込んだ。

もう、見てるこっちが辛くなってきた。

「A、無理して見なくても…」
『いや…ちゃんと全部見るよ…渚の意思を、無駄にはしたくない』

さっきからずっと支えてくれているカルマが、私の目を見て言った。
だから私も、カルマの目を見てしっかりと言った。

渚は私たちのために、鷹岡に立ち向かってくれている。
その頑張りを、私は無駄にしたくない。

渚が頭を下げて土下座をしていると、
鷹岡が渚の頭を踏みつけ…

やっと鷹岡の気が済んだのか、渚の頭から足を退け、渚は頭を上げた。

「褒美に、いいことを教えてやろう」

鷹岡はそう言うと、治療薬が入ったアタッシュケースを手に持った。

『…待って、あいつ…！』

私は思わずカルマの腕から滑り落ちた。

「ウイルスで死んだ奴がどうなったか、画像を見せてもらったんだが、笑えるぜ。
　全身デキモノだらけ。顔がブドウみたいに膨れ上がってなぁ…見たいだろ？」

そう言って鷹岡は、アタッシュケースを空に投げた。

『ダメ！！！！』
「渚くん…？」

気持ち悪い笑みを浮かべながら、鷹岡は手に持っていたボタンを押した。
その瞬間、空に舞ったアタッシュケースは仕掛けられていたプラスチック爆弾によって散り散り。

風に乗って、消えて行った。