【暗殺教室】あなたの視線の先には。Ⅲ (ページ17)

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＃110 ページ17

「この体格差で勝って本当に嬉しい？
　俺ならもっと楽しませることできるけど？」
「イカれやがって…！お前が決めたルールで渚に負けただけじゃねぇか！」

寺坂まで参加してきて、なんだかよくわからないことになってきた。

「言っとくけどなぁ、あん時テメェが勝ってようが負けてようが…
　俺らテメェのこと大っ嫌いだからよぉ！」
「砂利どもの意見なんて聞いてねぇ！！俺の指一本で砂利が半分減るってこと忘れんなぁ！！！」

急に鷹岡が荒ぶって、声を上げた。
寺坂が押し黙ったことをいい事に…

「チビ、お前だけで来い。この上のヘリポートまで」

鷹岡はそう言うと、階段を登ってヘリポートに向かった。

「渚、行っちゃダメ…！」

渚は少し考えて、カエデに殺せんせーを渡した。

「行きたくないけど、行くよ…」

階段の上で叫び散らしている鷹岡を見て、

「あれだけ興奮してたら何するかわかんない。
　話を合わせて、冷静にさせて…
　治療薬を壊さないよう、渡してもらうよ」

そう言って、階段を登って行った。

『…行かせていいの、殺せんせー。
　あんだけ興奮してたら、冷静に話し合いなんてできないと思うんだけど…』
「にゅぅ…正直、先生もまだわかりません…
　ですがAさん、あなたは一度ちゃんと休みなさい」
『え？』

殺せんせーは私の方を向いて言った。

「バレていないと思いましたか？先生の目は騙せませんよ。
　ウイルスに感染した状態でここまで来て、もう立っているのも限界のはずでしょう」

…殺せんせーは、なんでもお見通しだ。
私の演技でも、先生は流石に騙せなかったか…

『あはは…じゃあ、お言葉に甘、えて…』

私はそう言い終わる前に、体の力が抜け、倒れ込んだ。

「A…！」

カエデが私を呼んだ直後地面に倒れ込むと思っていた私の体はカルマによって受け止められていた。

「逢坂…そんな状態でここまで来てたのか…！？」
「どんな精神力してんだよ…」

『寺坂も、人のこと言えないっしょ…』
「…！」

私がウイルスに感染したとわかったのはホテルに侵入してから。
このウイルスは、初期症状や熱など、発症状態に個人差がある。

『寺坂…あんた自分がウイルスに感染してるってわかってたのに来たんでしょ…馬鹿だねぇ』
「寺坂まで…！」

その瞬間、ドガン、と大きい音がして…
音の方向を見ると、ヘリポートまでの階段が爆破されていた。