May all your dreams come true...【本編】 (ページ21)

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真夜中のおはよう/藤見加奈ページ21

その夜私は、突然ぱちりと目覚めた。はじめに目に飛びこんできたのは、カーテンのすきまから見える星空だった。意識は覚醒してるはずなのに、体は重く、上手く動かすことができない。

「う…早く起きないと…」

ドサリと転がり落ちるかのようにベッドからおり、ゆっくりと起き上がる。

「ふぁ…ねむ」
間の抜けた欠伸をしなが私は、予め用意しておいた服に着替え、顔を洗うために洗面所に向う。

洗面台の鏡に映った私は、信じられないほどに不機嫌な顔をしており、不細工だ。

「おはよう、自分。まぁ、そんな顔するなって…って、何言ってんだ私」

左右反転した自分にへらへらと笑いかけてみたが、少し冷静になり、自分の行動に対して一人でツッコミを入れている。

ぱしゃぱしゃと水で顔を洗うと、少しスッキリとして、やっと目が覚めた。

リビングキッチンへ移動した私は、かさかさと袋から取り出した生のままの食パンを口に咥え、ピ、とテレビをつける。

『本日のニュースをお伝えします。』
と、無機質なアナウンサーの声が部屋に響く。どうやらこの地域で殺人事件が起きたらしい。しかも犯人はまだ捕まっていない。ご愁傷様です、と心のなかで呟き、残りの食パンを飲み込んだ。

「23時…そろそろ遊び行くかぁ」
時計を見ながら、支度を進め、私はふと思い出したかのように、ぱたぱたと両親の部屋へ足を進めた。

そこには、ぽつりと仏壇のみが置いてあり、それ以外にはなにもない。当たり前だ。遺物はほとんど処理してしまったのだから。

「父さん、母さん。今日も行ってくるね。」
ちん、とりんをならし、線香を焚いて、いつも道理のことをしてるだけなのに、なんだか悲しくなってきた。

「…なんで、二人は死んだんだろ。」
確か、二人共自殺したんだよな。
私を置いて。

「ま、そんなこと、考えたって無駄か。死人に口無しって言うし」

そして、マスクとお気に入りのスニーカーを身につけ、私は家を後にした。

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