May all your dreams come true...【本編】 (ページ11)

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将来/詩摩漣ページ11

様々な機会が静かに音を立てる暗い部屋

微かに漂う珈琲の香り

少しでも左右に動かしたり背もたれに体重を預けるとキィキィ甲高い音を立てる椅子

そんな部屋の中心でパソコンにヘッドホンを繋ぎ、授業を右から左へと聞き流す。大切な部分はちゃんとノートに記している為、特に支障は無い。しっかりと聞いてる生徒の脳内が見てみたい。無駄な知識ばかり…必要なものだけを取り込めば効率が良いのに、そう言う自分も無駄な知識の塊なのであまり人に物を言えないけどなぁ

椅子をキィキィと音を鳴らしながら回っていると、壁に飾られてある賞状が目に入った。教師が何か言っているがこれも聞き流し、意味もなくその賞を見つめる。

『くん…詩摩君！…やっと気づいたか…腑に落ちない箇所でもあるのかい？』
「すみません…特に何もありません。ただ、アレをどうしようかと思いまして」
『あぁ、進路か。進路希望調査票の期限は明日までだから早くして欲しいんだ』
「明日の5時頃までには出します」

ため息を吐きながら授業を再開させる教師を横目に将来について考える。
進路希望調査票、卒業後やりたい事や行きたい学校、職を記入し提出しないといけないのだが俺だけ出していない。やりたい事などは特に無く、持っている賞も級も就職する時に役に立ちそうだからという理由で適当に取ったもの。
よくある普通に仕事して～なんてのは無理な話で、まず普通の会社は何処だというところから始まる。

「やりてぇ事なぁ……」

特技は…タイピング？
趣味？趣味！？迷った時の読書
行きたい場所…電化製品店
やりたい事…………稼ぎたい？
もっとマシなものは無いのかなどと、目を瞑り唸りながら探しているとヘッドホンからチャイムが聞こえた。午後の授業が終わり腹が減る。
とりあえず飯だな
台所の棚から適当にインスタントラーメンを取り出し、お湯を注ぎ3分。開発した人は天才だ

腹も脹れまたパソコンと睨めっこをし始める。
さっさと今日出されたレポートと提出期限間近の物、あと進路希望調査を提出させてゲームがしたい

昨日と変わらずしたい事が無い一日を過ごす。もう、それだけで充分な気がしてきた。
……株主にでもなってやろうか