May all your dreams come true...【本編】 (ページ3)

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幸せの味は/霜天氷織ページ3

「氷織、色々持ってきたわよ～」

ガチャリ、とドアを開けて入ってきた母を迎え入れる。

「うん、ありがと…あ、おかず。」

相変わらず私一人では食べ切れない量のおかずが沢山のタッパーに詰め込まれている。これはお隣さんにでも分けようかな、と考えながら冷蔵庫にしまい、母に話しかけた。

「今日もまた急だね…どうしたの？」

「あら、きちゃ駄目だった？あ！もしかして、氷織ちゃんの彼氏でも来るの？」

「もう、やめてよ。来ないし居ない！」

茶化すように母が言うのをきっぱりと否定する。母は美人だ。白くて長い髪の毛はサラサラで、天使の輪ができている。綺麗な金色の目は、光を受けて輝いていた。

母の様な美人なら、しかもあの明るい性格なら沢山の友達に囲まれていた事が容易に想像できる。

私はと言うと、父に似た青の目。若干癖のついた髪の毛は母のサラサラストレートには到底及ばない。

それでも良かったの、だって私は

「お父さんの事、好きだよ。私」

「あったりまえよ！だって私の選んだ人だもの！」

幸せだったから。

この幸せを噛み締めながら今日も明日も生きていこう。

「じゃあね、お母さん。また今度」

「ええ、じゃあね。…そうだ、氷織ちゃん」

「…ん？どうしたの？」

「…なんでもないわ！呼び止めてごめんね！彼氏できたら連れてきてねーっ！」

最後までブレないなあの人は

ふふ、と笑ってしまった。
日が落ちていた、あぁ。もうこんな時間だ。寝ないと明日辛くなるし、寝よう。

幸せだった私は、目を閉じた。