8.2割の実力 ページ9
信長、信秀、平手、沢彦の4人は絢音に対して信頼を置いていた
それは彼女と対話をし、行動を共にしたからだった
しかし、関わりのない家臣達は不満を持っていた。
いきなり現れた、しかも女に重役と呼ばれるものを横から取られたのだから。
ある日
｢女、お前はどうやって我が殿を誑かした。
体でも売ったのか｣
絢音に10人程の家臣が喧嘩を売っていた
｢(絢音への不満や嫉妬が爆発した、か…。
さて、あやつはどうする)｣
そこに3人が通りかかる
信長は面白そうに、平手は心配そうに、沢彦は少し腹立たちそうに見ていた
｢はぁ、それで御用は何なのでしょう。
なければこれで失礼したいのですが。｣
｢巫山戯るな！！
どうせお前が賊を倒したというのも虚言であろう！今ここで俺と勝負せよ！！｣
彼らは絢音が戦える、ということすら信じておらず彼女を排除する気だった
｢お断り致します。必要性が感じられない故。｣
平然と、無表情で答えた
彼女にとって彼らから信頼されることは重要ではなかった。
何故なら"人間"という存在を好んではいなかったからだ。
しかしそれが彼らを煽った
怒りが沸点にまで達した家臣達は彼女に殴りかかった
｢あぁ、くだらない。｣
一瞬であった
目の前にいた男の拳を手のひらで受け止め、顎を蹴り上げ柔道、空手、合気道の様な我流の体術を使って彼らを沈めた
呆気に取られた
絢音は、これほどに弱いものかと感じた
家臣達は何が起きたかさえわかっていない
信長達は彼女の技術の高さを改めて感じた
｢これで、宜しいでしょうか？
しかし…相手の力量を測れず無謀にも戦いを挑むとは…ここが戦場で、いや私が敵ではなくてよかったですね。｣
彼女は蔑むような、冷徹な瞳で彼らを見下ろす
｢それでは。｣
これから彼女は信長との勉強の予定があった
このような下らないことに手間を取られるとは…と、内心悔やんでいた
｢若君、失礼致します。｣
部屋に入った。そこには信長、平手、沢彦の3人が集まっていた。
｢お主の力量見せてもらった。
素晴らしいものだな。｣
｢私は何が起きたかわからなかったものです。｣
｢絢に手を出そうとするとはなかなかの度胸と命知らずですね。｣
｢若君、お褒めに預かり光栄にございます。
沢彦殿、意味がわかりかねますね。｣
｢ほぉ？よく言えるものです。
貴方は戦闘技術も知識も並外れているでしょう。｣
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作者名：梓蝶 | 作成日時：2018年7月25日 19時
