イロトリドリ【短編集】

前野智昭【日が変わる前に】 ページ35

「ん、あげる。チョコ。」


「え？いいの？貰って…。」



” いらないなら、あげないから ”


そういうと


「え？いるよ！」

「じゃあ、日が変わる前に、受け取ってよ。」


あと、10分ぐらいで、バレンタインデーは、終わってしまう。


だから、チョコがいるなら、速く受け取って欲しい。


「ありがとう…」


「いーえっ…」

(当然、ファンの人たちからも、貰ってるんだろうけど…。)


ギュウッ…と前から、抱きしめられる。

「本命？」

「へ！？あ……う、うん…。」

消え入りそうな声で、返事をする。


すると、目の前に、彼の顔がドアップで、映った。


キス……されてる？


唇を離されても、呆然と目を見開いている私。


彼の顔は、イタズラな顔をしていて、



「俺も、Aちゃんの事…好きだよ」



少し、顔を赤らめながら、気持ちを伝えてくれた。





(はぁー………たつ…どうしよ、昨日のAちゃん、ちょー、かわいかった…)



(あー、はいはい。それ、何回も聞いたぞ。)

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