イロトリドリ【短編集】

下野 紘 【遅い】 ページ28

「…遅いなー」

時計を見ると、２３時をまわろうとしている。

「今日、帰ってくるの早いって言ってたのに…メールくらいくれたって……」

少し、ぷんぷんしながらも待つ。

” 今日は早く帰る ” と、彼が言っていたので、

彼女は、夕食は二人で食べようと想い、彼の大好物の からあげ を作って待っているのだ。

「…下野さんのことだから、急に仕事が来て、連絡できてないってとこか。」

ガチャ

午前０時になる前に玄関のドアではなく、部屋のドアが開いた。

「…はははっ、大当たり。」

” Aは、ホント何でも解ってくれてる”

そういった後。頭を撫でられ、ちゅっとキスをされ

「ただいま」

そう言われた後に

「お帰りなさい」

と少し照れながらも言う。

「おっ…今日の夕飯は、からあげか！」

そういう彼の瞳は、凄くキラキラしている。

「…ねぇ、明日も仕事あるの？」

「ん？…明日は、久々に休みだよ。」

イスに座りながら言う、下野さん。

「…そっか、私も休み。」

「明日は二人で、家で、ゴロゴロしよう。な？」

「うん。」

少し沈黙が続くが、イヤな沈黙ではなく。何か、嬉しい沈黙。

「あ、風呂入った？」

「…ううん、入ってない。」

「じゃ、二人で入ろっか。」

” えっ！？//// 下野さん、いつから、そんな大胆に…？/// ”

” …いつまでも、ヘタレだと思ってたら、大間違いだよ。”

そういう会話をしながら、お風呂に二人で入り、食事を済ませ

そうしている内に、午前0時30分になっていた。

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