イロトリドリ【短編集】

緑間真太郎【雨宿り】 ページ24

６月に入り、梅雨の時期。

今日は、午後から雨…

ちょうど、下校時間帯だ。

傘を差し帰ろうとすると、玄関の前に一際目立つ、高身長で緑色の髪をした男子生徒が立っていた。

「どうしたの？…緑間。」

「…傘を忘れてしまってな。」

「へぇ…珍しいこともあるんだね。」

「くっ…ラッキーアイテムを持っていなかったばかりに…」

とぼそぼそと悔しいのか解らないが、とにかく、何か呟いているのはわかった。

「…入れてあげる。」

オレンジ色で白色のドット柄の模様をした傘を渡す。

「…いいのか？」

「いいよ、ラッキーアイテムも"オレンジ色"の傘でしょ？」

"…それに、一応彼氏だから…。"

「なにか言ったか？」

「ううん！何でもない。」

"そうか…一緒に帰るのだよ。" と言い歩き出す。

それを、小走りで追い掛ける。



私の家の前…

「…雨宿りしていく？…親居るけど。」

「いいのか？」

「うん。」

「お前が、いいと言うなら…」

と緑間は私の家で、雨宿りすることとなった。


ガチャ とドアを開ける。

「お茶持ってくるから、待ってて」

と言い、部屋を後にする私。

今までで、彼氏である緑間を、家、ましてや自分の部屋にも、一回もあげたことはなかった。


「お茶持ってきたよ…！」

ドアを開け、部屋に入ると、緑間は寝ていた。

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