99．キュっと ページ2
｢でね〜！あの後2人でご飯食べて、たくさんおしゃべりして家に送ってもらっちゃった！｣
｢ふーん､良かったね。あ、お茶入れて｣
コポコポ。
あー麦茶最高。
｢宮都くんもキヨのこと気に入ったらしくてね！家に上がってサッカーの話とかゲームの話とかしてた！仲良くなってくれて良かった〜｣
｢なるほどねー､良かったじゃん。デザートでも頼もうかな｣
俺の容態はすっかり良くなった、翌日。
普通に出勤して普通に働いて昼になったらコイツとすき家でご飯を食べる。
昨日のしんどさはどこかへいって、そんな日常が戻ってきた。
朝から会社で話を聞いてほしそうにうずうずしてたから仕方なく聞いてやってるけど…。
｢つわ！聞いてよ！！｣
｢聞いてるわ｣
同じことを繰り返して言ってくるから、いい加減うんざりしているところだ。
初恋だからとはしゃぐ気持ちも好きな人と過ごしたドキドキした時間を共有したい気持ちも分からなくもない。
でも、俺のことも少しは考えてほしい。
もう解放してくれ…。
飽き飽きしながらもう一杯、お茶を飲み干す。
｢キヨが笑うと
｢…わかるよ。俺だってそうだったんだから｣
｢そう、だったの？｣
｢うん。話してるだけでも、この人のこと好きだなぁってなるだろ？恋したらみんなそんな感じじゃね？｣
｢そっかぁ…。これが恋なのか｣
うん。
お前のそれは紛うことなき恋だよ。
俺はふふっと笑ってAの頭を軽く撫でた。
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作者名：ななし | 作成日時：2018年1月18日 23時
