おかえり ページ10
you side
涙が止まらない私は
ナースコールを押した。
病院のナースコールは
主治医が多忙じゃない限りは主治医が応答する。
レ「どうした」
「れ、レイっ…」
レ「どこか痛むのか?」
「思い出したっ…レイの事っ…」
レ「っ…」
「ごめんねっ…思い出すのに時間かかっちゃってっ…」
レ「…すぐに行く」
レイの事を思い出した私は
手のひらのアザラシを見つめてレイを待った。
そして数分後、
ノックもなく勢いよく開いたドア。
「レイっ…」
レ「っ…」
レイは私を抱きしめた。
レ「私の事が…分かるか、」
「うんっ…分かるっ…」
レ「…」
「…私の主治医でっ、いつも一番に私の健康を考えてくれる先生でっ…私のっ、大切な人だよっ…」
レ「…」
レイは私を抱きしめたまま
少しだけその腕に力を込めた。
レ「…おかえり、A」
「…ただいまっ、」
私はレイを記憶に取り戻した。
ずっと、ずっと涙が止まらなかった。
レ「…少しは落ち着いたか?」
「…ごめん、泣きすぎちゃって」
レ「記憶が戻る事は喜ばしい事だ。謝る事じゃない」
「ホムラの事もレイの事も思い出せたのにっ…セイヤさんの事が思い出せないのは辛いよっ…」
レ「お前がどこまで思い出したのかは分からない。だが、私の事を思い出したのは何故だ」
「あなたがくれたアザラシのおかげ。目を閉じた時に、私とレイが歩いてる場面が見えて…それで思い出したの」
レ「A、お前には能力がある」
「能力、?」
レ「ああ、この世界ではその能力をEvolと呼んでいるものだが…私は氷、ホムラは炎、そしてセイヤは光だ。お前にもそのEvolは存在している」
「私にも…?あ…それがあるから私は真空ハンターに?」
レ「お前のEvolは、治癒と時間だ」
「治癒と時間…」
レ「治癒は人の傷を癒やし、時間は過去を知る事と未来の予知ができる」
「そんな能力が私に!?」
レ「その力のおかげで私の事を思い出したんだろう」
「…まぁそうだけど」
レ「自信を持て。お前の判断は間違っていない」
「え?」
レ「間違っていない、ただそれだけだ」
レイはそう言って私の頭を撫でた。
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作者名:みなと | 作成日時:2024年2月20日 22時