手品 ページ8
you side
ホムラが一緒にいる時間、
なんだか私はとても落ち着いていた。
それはもちろん記憶の中にいるホムラと
目の前にいるホムラが一致している事もそうだけど
私自身が何よりも安心できているのが分かって。
ホ「君、本当に思い出したんだね」
「え?あー…うん、そうみたい。なんでホムラの事思い出せたんだろう…」
ホ「きっと、海が僕たちの味方したんじゃないかな」
「海が?」
ホ「僕の一番の理解者は海、そして君の事を受け入れたのも海、何よりも…さっき言ったでしょ?君は海の祝福を受けているんだから」
「まったく…ホムラってなんでそんな屁理屈ばっかり…」
ホ「屁理屈とは心外だな…」
「でも、確かにそうかもね。ホムラのおかげで私はホムラの事を思い出したんだし、あの青い魚のおかげでホムラの事再認識したんだもん」
ホ「もう少し、君は自分に自信を持つべきだよ」
ホムラはそう言って微笑んだ。
ホ「ドクターのことは?まだわからない?」
「えっと…レイ先生の事?」
ホ「その様子だと…まだ思い出せてないみたいだね」
「でも…レイ先生もセイヤさんも…初めましてじゃない気がするんだよね…」
ホ「それならそうと…しっかり自信を持って。ちゃんと接すれば、僕みたいに思い出せるかもしれない」
「ホムラ…」
ホ「少なからず、君があの2人に他人行儀で接してるのは…見るに耐えないんだよ」
「え、!?」
ホ「いつも犬みたいにワンワン吠えてる君が…今は別人のように静かなんだから。こっちの調子も狂うでしょ?」
「言いたい放題だね…ホムラは…」
私が思わず苦笑いすると、
ホムラは私を見て楽しそうに微笑んだ。
そしてホムラと他愛もない話をしていると
窓の外はもう真っ暗になっていた。
ホ「さてと…僕はそろそろ帰るよ」
「あ…うん、ありがとう。ごめんね、遅い時間まで…」
ホ「気にしないで。大丈夫だから。また顔を見に来るよ。…あ、それからウサギさんも面会に来るって言ってたよ」
「ウサギさん…?」
ホ「そ。しっかり向き合って、何か思い出せるといいね!じゃ、また何かあったらいつでも連絡して?」
「え?」
ホ「…手品を見せようか」
私はグッと手を握りしめていて
その手を開くと小さな紙が一枚。
ホ「じゃ、またね」
「…キザなんだから」
その紙を見て、私は笑みがこぼれた。
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作者名:みなと | 作成日時:2024年2月20日 22時