冷たい温もり ページ4
you side
2人が帰った病室は少し寂しい空気が流れていた。
レ「…聞きたいことがあれば何でも聞いてくれ」
「え、？」
レ「主治医として、今の病状を伝えると…お前は記憶喪失になっている」
「き、記憶…喪失？」
レ「何が起きたのかはさておき、お前は記憶を無くしている状態だ。自分の名前は分かるか？」
「…如月、A」
レ「自分の名前以外に分かることは？」
「…い、いえ」
レ「かなり深刻だが、一命を取り留めただけでも幸せだと思うようにするんだ」
「は、はい…」
レ「…」
記憶喪失…なのか私。
自分の名前しか…分かることないもんね。
…私、どうしたらいいの、？
そう考えるうちに不安が募り、
私は俯いていた。
そんな私の頭に
大きな冷たい温もりが乗っかった。
「へっ…、？」
顔を上げると
とても切なく、儚い微笑みを浮かべるレイ先生。
レ「大切な事を忘れてしまった、そう思うのなら…また覚えればいい」
「っ…」
レ「私も…そしてあいつらも…お前の味方だ」
「…、！」
その言葉に私のストッパーが外れ
涙が溢れて止まらなかった。
レイ先生はそんな私の頭をずっと撫でてくれた。
「…ひとつだけ、分かるんです」
レ「？」
「私は…とても大切で…何より大事な「何か」を…忘れてしまったんだって…」
レ「…、」
「…きっと、天罰が下りますね、私には…」
レ「っ…、」
気付いた時には
もう既にレイ先生の腕の中だった。
レ「…お前に天罰が下るなら、」
「…？」
私を抱きしめたレイ先生の手は
レ「その罰、俺が半分受け持とう」
「っ…」
少しだけ
震えていた気がした。
「…レイ先生と私は、仲良し…だったんですか？」
レ「仲良し、と言っていいのか定かではない。ただ…一般的に言えばきっとそうだった」
「な、なるほど…」
レ「さっきの2人もそうだ。話す機会があったら同じ話をしてみるといい。私と同じことを言うはずだ」
「は、はい…話してみますね！」
レイ先生は少し微笑んだ。
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作者名：みなと | 作成日時：2024年2月20日 22時
