つよいひととこわいひと (ページ17)

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「400年前は、確か…エド…時代?」

「よく知ってるね」

私が生まれるよりも前にこの人間は存在していたのか。
まさか今蓄えてきた知識が役にたつとは。役にたっているのか？

「それで、なんか雑談みたいになったけど結局君達はどうすんの？
　既に一人ダウンしてるけど」

その言葉を聞いてハッと気が付く。
そうだ、私は一体何をやっているんだ。敵の話に素直に耳を傾けて、
きっと私は隙だらけだっただろうに。

でも、じゃあどうする。私にはこの人間を倒せない。
逃げる？それは一体どこに？
シアニスは？あの程度の傷では死ぬことはないだろうが、空腹の中、
あれほどまでに暴走したんだ。しばらくは行動できないだろう。

「まあ、決められないっていうなら、私が介錯してあげてもいいけど。今日は満月だし」

それはつまり、私達はあの人間によって殺されるということ。
あの圧倒的な強さならきっと、吸血鬼の耐久力を削るのも容易いことなんだ。

私にもっと力があれば…私達が強ければ……

強さ？

その時、私の頭にあるアイデアが思い付いた。正直、我ながらとても頭の悪いアイデアだけど、
思い浮かんだ以上、やってみるしか。

「…あの、私達をあなたの弟子にしてくれませんか！」

「は？」

案の定、何を言っているんだという目で見られる。
でも仕方ない。なんとか、なんとか交渉しなければ。

「私はあなたとシアニス_____あの吸血鬼との戦闘を見て確信しました
　もしこのままこちらの世界で生きていくならば、私達にはもっと大きな力が必要なんです！」

「現状、あなたは私達より遥かに強いならその人物から直接、どうしたら
　今以上に戦えるようになれるか教えを乞いたいのです！」

きっと言っていることはめちゃくちゃだろう。でもそこはなんとか勢いで誤魔化す。
本当は好きじゃないやり方だけど、ごり押しというやつだ。

「それってつまり、人間を襲うやり方を人間、私に教えてもらうってこと？」

そういうニュアンスで捉えてしまったか…！

「私が言うのも色々と違うけど皆が皆私と同じくらい強いわけじゃないからね
　そりゃ私より強い人もいるけど別に教えなくても近くにある歌舞伎町の
　連中なら君達なら余裕で、」

「違います！私達が吸血鬼である以上そう思われてしまうことは避けられないけど、
　でも私は単純に強くなりたい、弱い自分はもう嫌なんです…！」

思わず感情的になってしまった。