【BL】あなたと魔法に救われて。第一章【歌い手】 (ページ10)

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九話ページ10

「夜ご飯、食べようか、」

暖かい指で僕の涙を拭いながら、優しくそらるさんは言う。

「…はい、」

こくり、と頷けばまた頭を撫でられる。
優しいそらるさんの手で頭を撫でられるのは好きだが、もしかしたら、子供扱いされてるのかもしれない。

確かに子供だが、モヤモヤとする。
そのモヤモヤの原因は？と聞かれると、子供扱いされるから、ではない。

…じゃあ、なんなのだろう。

「…三分で来るって、」

「わかりました、」

寮の夜ご飯は転移魔法で送られてくる。
これは学園長の方針で、食堂を込み合わないようにするためと、移動時間の短縮により、勉強に専念できる、ということらしい。

ちなみに僕達は寝坊するためほとんどとらないが、朝ごはんも運ばれてくる。

壁についてあるタブレットを操作すると、数分後にタブレットの下にある取り出し口から、定食が出てくる。

片付けもその取り出し口にいれるだけでいい。

「今日はまふまふの大好きな、エビフライ定食だよ。」

「本当ですか？やった、！」

「…ふふ、…やっと笑った、」

「…ぁ…、」

「…じゃあ、ご飯食べようか、」

くしゃり、とまた頭を撫でられる。

頬が緩んでしまうのを必死におさえた。
そらるさんにはいつも助けてもらってばかりだ。

いつか、そらるさんが悲しい顔をしてたら、僕が笑わせてあげたい。