六話 ページ7
「まふまふ〜、飯、一緒に食お?」
「はい…!」
時は過ぎてお昼。
教科書を片付けていると、いつものようにそらるさんが迎えにきてくれる。
からかう天月くんたちの声は無視して、そらるさんに駆け寄った。
一度、先輩に来てもらうのが申し訳なくて、僕が行きます、と言ったらすごく怒られた。
理由は尋ねても教えてくれなくて、お前は何も知らなくていいよ、という風に頭を撫でられた。
さすがに逆らえなくて、今は大人しく迎えに来てもらっている。
「…今日はクリームパンがおすすめだってさ、…まふまふ、好きでしょ?」
「はい!じゃあ、僕、それにします!」
何時ものように、二人で買い、席に向かい合うように座って食べる。
だが、そらるさんはモテる。
女子の目線が刺さるし、強い子は僕を押し退けてそらるさんと一緒に食べようとする。
そのときはそらるさんが今まで見たことないような、怒った顔で女の子を睨んだため、僕が何か言われたり、そらるさんとご飯が食べられなくなったりはなかった。
幸いだったのは僕がAクラスで、寮に行くときもいつでも、そらるさんがいることだ。
もし、Aクラスではなく、普通のクラスだったら、集団でいじめられたに違いない。
「…まふまふ?」
「んぇ?あ、ああ、すみません、考えごとしてて…、」
「そうなの…?」
「はい、」
「回りの目とか気にしないでいいからね、」
…なんで、この人には何でもかんでもお見通しなのだろう。
千里眼とか持っているのだろうか。
でも、そらるさんに余計な心配はかけたくないため、そわそわするのを止め、彼だけを見詰めて、ご飯を食べた。
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作者名:桜餅@そらなー | 作成日時:2019年5月14日 18時