【歌い手】Is she loved by…？

十七話。 ページ19

「A！」

「Aちゃん！！」

えっ___？

踏み出した所にはなぜか小さなビー玉が。
足を滑らせ、体が傾く。
顔面蒼白でこちらへ駆け寄ってくる二人。

あぁ…落ちるときにスローで映像が見えるってこういうことなんだ、と私の頭は呑気な事を考えていた。

まふくんとなるせちゃんが私に手を伸ばすが、私の手は二人の手を掴めず体はまっ逆さま。
痛みを覚悟して目を瞑ったとき。

「うわっ、危な…、気を付けなよ。」

どうやら階段を上ってきたそらるさんが私の体を受け止め、尻餅をついた。
幸い、そらるさんは階段を1、2段しか上っていなかったので大した怪我もなかった。

「…ご、ごめんなさい…。」

「…はぁ。…どうせ、あいつの仕業だろうけど、」

ビー玉を拾い上げそらるさんが呟く。
あいつ…？
そらるさんがそんな風に人を憎んだような呼び方で呼ぶのは珍しい。

「…はぁ、俺も証拠を見つけれてたわけじゃないんだけど…。…Aが刺してないことくらい最初からわかってる。けれど…、」

そらるさんは少し辺りを見渡して私にささやくように小さい声で言った。

「…今はあっちにペースを持っていかせなきゃみんなに危害が及ぶ。もう少し、俺達が証拠を見つけるまで待ってくれ。…大丈夫、Aに危害が行かないようにする。…今のようなことがないように、」

「…本当、そらるさんって女たらしですよねー。本当に無自覚なんですかー」

「…うるせ、」

そらるさんと私をまふくんが引き剥がす。
まふくんは頬を膨らまして、私を後ろから抱き締めた。

「Aちゃんに近づくの禁止ー。僕のー」

「ハイハイ、ヤンデレもそこまでにしとけ、」

「…ちぇ、」

なるせちゃんも階段を降りてきて、大丈夫？と心配してくれた後、手を借りて私は立ち上がった。

「…ご飯、食べよう？」

「うん、！」

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