Prolog ページ1
窓から朝日の差し込む部屋。
可愛いらしい部屋には
小さめのベッドが1つ。
そのベッドのふくらみがモゾモゾと動き出す。
ふわぁぁ
大きなあくびをしながらベッドから出てきた4歳か5歳くらいのちいさな少女。少女はお気に入りのうさぎのぬいぐるみを持ってリビングへヨタヨタと歩いていく。
ガチャ
『パパぁ?』
何も返事のない静かな部屋。
『あれぇ?』
そこで少女は思い出す。
朝早く1度起こされたことを。
"「おはよう。仕事に行ってくるね。今日はともえも来れないけどひとりでお留守番できる?……お昼には帰ってくるからね。」”
その後すぐまた眠ってしまった少女。
『ちゃんとおっきして、いってらっしゃいしたらよかった。』
リビングのテーブルを見るとそこには美味しそうな朝ごはんと水筒。
"「ご飯置いてあるから起きたらちゃんと食べるんだよ。」”
椅子に座ってご飯を食べだす少女。
とても美味しそうなご飯だが、浮かない顔の少女。
『パパと……たべたかったな……』
絵本を読んだり、おもちゃで遊んでいた少女。
しばらくするとチラチラと時計をみだす。
何度見てもすぐに時計の針が進むことはない。
うさぎのぬいぐるみを抱きしめた少女は寂しそうに呟く。
『おひる……おひるまで……………ひとり……がまん』
少女は立ち上がり、朝寝ていた部屋とは違う部屋へうさぎのぬいぐるみを連れて歩いていく。
ガチャ
少女の寝ていた部屋とは違い、落ち着いた色で統一されたシックな部屋。
そこには大きなベッドがあった。
少女はそのベッドに上り、布団に包まる。
部屋の光が徐々に少なくなる。
少女が顔を上げ、窓の外を見ると空を分厚い雲が覆い、先程まで暖かく部屋を照らしていた陽の光が見えなくなってしまう。
電気のつけていない部屋は外の光がなくなると途端暗くなる。
『(くらい、くらい、こわい、よるがくる)』
"バケモノ!!お前なんかっお前なんか産まなければ!!”
『だめ!きちゃだめ!やだやだ!……こないで』
少女の身体から真っ暗な闇が広がり、少女の身体を包み込み、少女が見えなくなる。
そのまま闇は広がり、その部屋一体を真っ暗な闇に染める。
『ごめっなさいっっ……うぅぅっ……わるいこでっごめんっなさい……』
真っ暗な闇の中少女の泣き声と謝る声だけが響く。
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作者名:せな | 作成日時:2023年9月30日 15時