長髪男子、拾いました。【場地圭介】 (ページ8)

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ｻﾞｧｧ…

「ん～……、」

雨の音で目が覚めた。
窓の外を見れば、雨が降っていた。
傘が必要ではないとは言えない雨だった。

「………やっぱ、傘忘れてたワ。」

玄関に行けば彼女が普段使ってるだろう傘が置いてあった。
因みに折りたたみの方も置いてあったのを確認済みだ。

駅まで迎えに行こう。
そう決めて、電気を消して戸締まりもしたのを確認し、家を出た。

「確か、駅はコッチだったな。」

この前の買い物で駅までのルートを教えてもらったのを思い出しながらなるべく早く向かった。

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やっと、駅に辿り着きAさんの姿を探す。
帰る時間なのか人が多い。
しかも、傘さしてるから見つけるのもひと苦労だ。

「！…見つけ………、？」

Aの姿を見つけ、駆け寄る。
しかし、Aは誰かと話してるのか俺には1ミリも気づいていない。

知り合いなのか、と思ってたがAが嫌な顔をし始めたのを見て何かあるなと感じ取った。

『…大丈夫だから、』

「お前、ひとり暮らしなんだろ？こんな雨の中帰れる筈ないだろう？」

『……コンビニで傘買うから。』

「お前、最近出費控えてるんだろう？ビニール傘買うのも結構な出費だろ。」

…何だ、アイツ。イライラする。
俺は急いで2人に近寄り、Aの肩を自分の方へ引き寄せた。

「俺の女に何か用か。」

「何だ、お前。」

『圭介くん……』

俺を見てホッとしたように表情が柔らかくなった。
それほど、コイツと話してるのか嫌だったのだろう。

「傘、忘れてたから迎えに来た。」

『わざわざ迎えに来てくれたの？…優しいのね。』

「……世話になってるのに何もしねｪのはちょっとな。」

男を無視して帰ろうとすると、肩を掴まれた。

「何帰ろうとしてんだ…！まだ話をしてただろ…!!」

「あ？Aが困ってる顔してたし、てめｪが一方的に話してただけだろ。」

『…高崎くん。彼が迎えに来たからもう一緒に帰る必要はなくなった。もう話はないでしょ？』

「……ｯ」

行こう、とAに促され俺達は帰路についた。

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