不良=恐怖とは限らない。【男主】

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『京極…なんで。』

「降谷さんに頼み込んで面会をさせてもらったんだ。」


京極は制服姿でどうやら、学校帰りに連れてきてもらったのだろう。面会者側の扉に人影が見えた。


『…黙っててすまなかったな。』

「…降谷さんから真実を知って驚いたよ。まさか、五十嵐が犯罪組織に属してたとは。」


京極の顔が陰っていて表情が読めない。
軽蔑しただろうか。当たり前か、騙してて仲良くしていたのだから。


「俺は信じるよ。」

『！…何を』

「五十嵐が悪い奴じゃないって事を。」


顔を上げ、自信満々に言った京極。
俺はその顔を見て涙がこみ上げてきた。


『…お前、いつか詐欺に遭うぞ、絶対ｪ』

「えぇ!!?」


✱


『へぇ、やっぱお前は空手一筋か。』

「嗚呼。俺は椅子にずっと座る企業に就職するのは思い浮かばないし。」

『確かに、お前は頭より体が動くタイプだしな。』


気が付けば話は盛り上がり、時間も忘れて駄弁っていた。


「…時間だ。」


刑務官が面会時間終了を知らせに面会室へ入ってきた。
それを合図に俺と京極は席を立つ。


「じゃあ、元気でな。」

『嗚呼、お前の良い知らせ待ってるぜ。どっち(・・・)もな。』

「…ｯ！」


俺は部屋を出る直前にそう言い放った。
扉が閉まる際に見た京極の顔は言葉の意味を理解したのか顔を赤くしていた。


✱


それからというもののあまり変わりない日々を送った。
月が流れていくとともに少年院を去っていく人間や入所してくる人間も疎らといる。

バーボン…いや、降谷の計らいで俺の刑期は10年から半分減って5年に減刑された。
その為に、更生しようと努力した。


「お前、此処出たらどうするんだ？」

『…俺？』


自由時間中、読書をしていた俺に同室の奴が話しかけて来た。
此処にいる連中は素行が悪くて傷害罪や殺人未遂の理由で少年院に来た奴が多い。
コイツのようにどんな奴でも話し掛けて来るバカは全くいない。気の短ｪ奴ばかりだから喧嘩に発展させたくないが為に人と接する時は必要最低限しか言葉を交わさない。


『…取り敢えず高卒認定受けてから就職、だな。』

「真面目だなー。俺働こうなんて考えてねーな。」

『…親の脛をかじるのか？』

「うっ、いつかは働くよ。…お袋が泣くもんな…。」


奴は図星を突かれたのか、項垂れる。
迷惑かけたんだから、親孝行しないと怒られんぞ、と。

そう言ってその場を離れた。


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