不良=恐怖とは限らない。【男主】

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女の子の手を繋ぎ、迷子センターを目指す。


「お兄ちゃん、だっこがいい。」

『だっこか。おいで。』


小さな体を優しく抱き上げる。
女の子は小さな腕を俺の首に回してギュッと抱き着いた。


「お兄ちゃんの髪の毛、サラサラしてるね。」

『そうか？さきの髪の毛もツヤツヤサラサラじゃねｪか。』


さっきまで泣いていた女の子だったが、Aと話しているうちに泣き止み徐々に笑顔を見せてくれた。

後ろから見ていた京極はAの女の子に対する態度が口調は少し悪いが優しいことに驚いた。
同級生に対しても素っ気ない態度をとっていたが…いや、女子に対しては思ったより優しいのかもしれない。

体育祭のクラス対抗リレーの時に転んだ女子にも優しかったような。


✱✱✱


『この子迷子。』


迷子センターの係の人にとても簡潔に伝えるA。
急に来た女の子を抱っこした怖い学生がやって来たことに呆気に取られた。


『おい、聞いてんのか。』

「は、はいっ！迷子の子ですね。それではお名前と誰と来たか教えてくれるかな？」

「…きさらぎさき。おかあさんときたの。」

「さきちゃんね。いいお名前だね。直ぐにお母さん呼ぶからちょっと待っててね。」


そして、一角の席へ案内され女の子にオレンジジュースを渡し、放送室へと入っていった。


✱


「紗季！」

「あ！お母さん！」


放送から数分したら母親らしき女性が急いでやってきた。
女の子はお母さんの顔を見て笑顔を見せた。


「本当にありがとうございました…！」

「いや、僕ではなくて五十嵐がほとんど相手してくれたので…。」

『素直に付いてきてくれたからすんなりとできただけ。だけどな、俺達だったから良かったけど怪しいやつには付いていくなよ。殺されるかもしれねｪからな。』

「うん！絶対付いていかない!!!」


笑顔で約束をした女の子とその場で別れた。
終始母親は頭を下げて感謝を述べていた。


「子ども、好きなのか？」

『女と餓鬼には優しくしろと言われていただけだ。…あの餓鬼は除いてだがな。』


アイツは小学生じゃねｪ。


『あんまり人と関わりたくないが。』((ﾎﾞｿｯ

「？なんか言ったか？」

『…いや。』


今までは人と関わることを避けてきた。
どこかで巻き込んでしまいそうで怖かったから。
けど、今は何処までが駄目なのかも知っているので、限りのある中での友人関係を築けるのはとても充実した日々が過ごせるようになった。


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